入学編2

「ピンポンパンポン」「入学式のお知らせを致します。入学式は十三時からに変更いたします」

 と放送が流れた。

 

 少ししてからノックがして繭とみゆさんが部屋に入ってきた。

「翔様十三時までどう致しましょうか?」

 とみゆさんが訪ねてくる。寮は朝晩は食堂でご飯が出てきて昼は学園で給食がある。

 

 今日は入学式で九時から始まる予定で昼前に終わり解散の予定で、寮の学生は今日だけ昼ごはんが食堂で出る。今は九時半、予定では寮には八時半ごろ着いて入学式の予程だった。

「どうしましょう?勉強でもします?!」

 翔は勉強をすると言って勉強道具を出し机に置いた。

「えっ勉強」

 繭が嫌そうに言う。

 翔も繭も頭は悪くない賢い方で小学二年までなら答えられる三年生を今は勉強している。

「流石翔様ですね!繭にも見習わせたいです」

 みゆさんは母親らしく返答した。

「うーー」

 繭はみゆに促されながら自分の部屋に戻り勉強道具を持ってくる。

 繭も三年生の勉強をする。

 

十一時になり繭は勉強に飽きた感じになって全然進んでいない。

「ピンポンパンポン」「学生寮食堂からのご案内をいたします。今日は変則の為お昼ご飯があります。お昼は低学年十一時半から高学年十二時からです。新入生の学生寮の方は十一時二十分頃にお越しください。食堂の説明をいたします」

 放送から食堂のアナウンスが流れる。

 

「翔様私は外で食事を取ってきてもよろしくでしょうか?」

 みゆさんが翔に確認する。

「はい食べてきてください。気をつけてくださいね!」

 翔は心配な顔で答えれる。

「いってらっしゃい。入学式には戻ってきてね」

 繭が母に言う。

「それでは失礼します」

 とみゆさんが一声かけ外に出て行く。

 

「大丈夫かな?」

 繭がみゆさんを心配している。

「大丈夫だってテロも終わったみたいだしみゆさんは三級魔法師らしいよ」

 と翔が繭を安心させ自分も安心させるのだった。

 

 魔法師とは特魔学園を卒業すると魔法師と言う資格がもらえ、実力や魔力量で階級が決まる。

 階級とは、特級、一級、二級、三級…五級まである。

 一般的が四級で三級のみゆは一般の魔法師より強く、翔の両親は一級魔法師で、一級魔法師は国が誇る魔法師と言われている。二階級下の魔法師は歯が立たず手も足も出ないとされ、一回級下の魔法師とは相性が悪いと負けるかもしれないとされて、階級が違うと勝負すらしない魔法師がほとんどだ。

 魔法をまだ習ってない低学年はまだ属性魔法を使えず高学年でならう。

 

 食事の時間になり翔は繭と食堂に行き、食堂のルールや返却口とかを教えてもらい、

「ここに座ろうか?」「そうね」

 翔が繭に聞き繭が答え席に座った。

 席は六人掛けの長テーブルで他にも何組かのグループでご飯を食べている。翔と繭は誰も座ってないテーブルでご飯を食べる。

 

「ここ座ってもよろしくて?」

 翔と繭が食べているテーブルに声をかけてきたのは、黒髪ロングの女の子、小柄で手にはお盆と昼ご飯が乗っている。

「大丈夫ですよ」「どうぞ」

 翔が言い繭が答える。

「ありがとう」

 黒髪ロングの女の子がお礼を言い翔の隣に座る。

「えっそっち」

 繭が小声が出てびっくりした顔をしている。

 

「私は智花ともかみなと智花よ。二年生になったわ」

 と湊智花と言う黒髪ロングの女の子が笑顔で自己紹介をしてくれる。

「二葉翔ですよろしくお願いします」「志波繭です」

 翔と繭が自己紹介をする。

「翔君と繭ちゃんねよろしくね」

 智花がいきなり距離を縮めてきた。

 

「よろしくお願いします。湊先輩」

 翔は智花を普通に先輩と呼んだ。

「智花でいいよ先輩もいらないよ」

 智花が笑いながら言う。

「そうですか?二年生ですから先輩ですよね?」

 翔が真面目に答えると

「翔君ってほんと新一年生?」

 智花が疑惑を翔に向ける。

「そうですけど?湊先輩もほんとに二年生ですか?」

 翔も湊先輩を疑っている。監視の学生だと少し思っているのだ。

「二年生だよ。下の名前でいいよ先輩もいらないって言ってるでしょ」

 智花がさらに笑う。

 

「……なら智花さんで」

 と翔は折れ下の名前で呼んだ。

「えー智花って呼んでよ」

 智花が面白そうに促してくる。

「智花さんでお願いします」

 翔がグイグイくるなーと思いながらも流石にと言う顔で断る。

 

「ねー智花はなんでそっちなの?」

 繭が機嫌悪そうに、しかも智花をいきなり下の名前で呼び捨てで話を割ってきた。

「なんのこと繭ちゃん?」

 と智花はなんのことか分かっていて、はぐらがしていると思う。

「ふ……」

 繭が席から立ち上がってフルフルと体を震わせている。多分繭はふざけるなみたいな事を言うつもりだったが抑えこんだと思う。

 翔はお互いの考えている事が分かる。分かると言っても、多分他の人が見てもわかる修羅場具合だな。

「二人とも落ち着いたら?」

 翔が二人を落ち着かせようと声を掛けると

「だって」

 と繭が剥れる。

「ごめんなさい。繭ちゃんがあまりにわかりやすくて」

 と智花が謝り笑う。繭は側から見るとわかりやすいみたいだ。翔は今だに女心がわからない。

 繭は智花が謝りわかりやすくと言ったので恥ずかしそうに座り、その後は無言でご飯を食べる。

 

 食事が終わり部屋に戻ると繭も部屋に入ってくる。

「繭部屋には戻らないの?」

 翔が繭に聞くと

「いい」

 と戻らないと言う。女子部屋は男子禁制だか男子部屋は特にそう言う決まりはないみたいだ。

 

 少しゆったりしてドアがノックされる。

「コンコン」「失礼します」

 中に入ってきたのは、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る