第一章初等部編

入学編1

 月日は流れ四月八日入学式

 相変わらず翔の父母は仕事が忙しいようで家にはほぼ帰って来ず、翔、繭、メイド長のみゆ、メイド二人、料理人と暮らしていた。

 

 四月になると寮に必要な服などを運んだりして、入学式当日になった。

 基本寮は家具やTV机は備わっているが自分の好きなように買い替えてもいいとされている。

 

「おはよう入学式だね」

 翔が目を覚ますと隣に繭が居て声をかけてくれる。

 繭は学園の制服を着ている。

 爆弾発言で翔に好意を持っている事は皆に伝わってしまい、伝わったと言うか翔と父以外は知っていたみたいだったが、母が公認してしまった為、メイド見習いではあるが二人の時は砕けて話すようになった。

 たまに繭の母親であるメイド長のみゆさんがいる場で、砕けて話してしまうと注意を受けている。

 

「おはよう。着替えるから出てって!」

 翔は繭から好意を持っていると分かった日から着替えは全て自分でやっている。

 小学一年でありながら対応や仕草が周りから大人と言われてはいるが、特に気にしていない。

 

 着替えが終わるとリビングに行き、

「おはようございます」

 とメイド長のみゆに挨拶をする。

 

「おはようございますぼっちゃま」

 みゆが翔に挨拶をして椅子まで案内する。

 

「繭は?」

 リビングに繭が居ないことに気づきみゆさんに聞く。

「繭は学園に持って行くものの準備をしています」

 みゆさんが額に怒りマークをつけて怒っている。

「なにかあったんですか?」

 翔が聞くと

「昨日準備できているか聞いたのですが出来てると答えましたので安心したら今朝荷物を玄関に持っていこうと繭の部屋に入ったら準備ができていなかったんです」

 とみゆさんがお怒りだ。

 

 翔は知っている。

 昨日って言うか一週間前から繭は準備をしていた。

 しかし昨日になって心配になって準備をした荷物を、全部出して確認し出したのだ。

「一緒に準備したと思うんだけどなんででしょね?」

 翔はみゆさんに答える。

 なぜ知っているかと言うと昨日の晩、寝れないと繭が部屋にこっそり入ってきたのだ。

 その時に準備しっかり出来ているか心配になって荷物を全部確認したと本人から聞いた。

 繭と一緒に寝た事を伝えると怒られると思い知らない事にしたのだ。

 

「準備できたよ」

 と繭が荷物をメイドに持ってもらってリビングにやってきた。

「いやー焦ったよ昨日全部確認したつもりだったけど机の上にまだ閉まってなかった荷物があったとは」

 と繭がみゆさんに言い訳をしている。

 「それが原因でしょ」

 とみゆさんが呆れている。

「どれ?」

 繭がハテナマークを頭に浮かべ首を傾ける。

 

「時間がないから早くご飯食べて行きますよ」

 みゆさんが繭を急がせる。

 繭がご飯を食べ終えると三人で玄関に行き車で学園まで向かう。

 

 家からは車で二十分にある学園。

 正確には国立関東特魔学園初等部と言い日本の国民は特学とくがくと言ったり、魔学まがくと言ったりするそうだ。

 

 車走らせていると学園近くの信号で

「バン」

 と大きな爆発音がなる。

 翔と繭が楽しく話をしていたのに

「きゃー」

 と繭が頭を下げびっくりする。

 もちろん翔もびっくりして頭を下げる。

 

 みゆさんは車を安全なところに停車して爆発のあった方を車の中から確認する。

 爆弾のあった方向は進路方向で学園の近くとわかる。

「確認致しますのでこのままお待ちください」

 みゆさんが取り乱さず携帯を出し確認する。

 

 少し経ち状況が一変する

「どうやらテロが行われているみたいですね!学園正門で反特魔組織が爆弾を爆発させてテロをしていて正門が使えないから裏門から入場して学園寮に入ります。入学式は一時見合わせるそうです!」

 みゆさんが確認した内容を伝える。

 

 車を走らせ十分後遠回りをして裏門に着きはしたが、裏門には警察やSPみたいな人達が多くいて検問やらで時間がかかりやっと入場する。

 学園は広く、本館、魔館、体育館、図書館、研究館、寮などと、でかい建物がある。

 魔館は魔力訓練などをする時に使う建物と以前教師から教えてもらった。

 

「相変わらず広いわね」

 繭が周りをキョロキョロして窓から外を覗かせている。

「ふふ」

 翔は繭の行動に笑い繭はむすっとする。

「何よ寮には何回か見にきたけど改めて見て広いと思ってもいいじゃない」

 繭は頬を膨らませながら答える。

 

 四月に入り寮に入る為、翔と繭は何度か学園まで足を運んでいた。繭はあれから母のみゆと話し合って寮に入ることになった。

 寮に着き車から荷物を下ろして部屋まで運ぶ。

 寮には使用人はおらず、食事は朝晩は寮の初等部全員で食堂で食べお風呂は浴場があり、男女は奇数は男子偶数は女子で低学年が下の階で高学年になるに連れて上の階に上がる。家具などは春休み中に業者が次の部屋まで移動をしてくれる。

 

 翔の荷物は少なく自分で持てるが繭は量が多くみゆさんも荷物を持っている。

「繭どんだけ荷物あるの?」

 みゆさんは呆れながら荷物を持って歩いている。

「だっているんだもん」

 繭は強く言いその後ろを歩く。

「繭はいっぺんに荷物持ってき過ぎなんだよ」

 と翔は笑いその後ろをついて行く。

「少しずつ部屋に運ばなかった繭が悪いのね」

 とみゆさんが言うと

「学園に来た時は翔の翔様の荷物を一緒に運んでたんだもん」

 と繭は呼び方を言い直して反論する。

「一緒に持ってっていいと言ったでしょ。繭が聞かなかっただけでしょ」

 みゆさんも何度か翔の荷物を運びに一緒に来ているから分かってはいたけど、繭はこうと決めたら譲らないから翔の荷物運びの時、繭の荷物がない事は知っていた。

 

 寮に着き寮の管理人さんに挨拶をして部屋に入って行く。

「おぼっちゃま私は繭の部屋に一旦行きますので」

 みゆさんがエレベータ前で言うと

「メイド長ここではおぼっちゃまはやめてください」

 と翔は恥ずかしくみゆさんに直訴する。

「申し訳ありません。翔様」

 みゆは笑い答える。

 

 翔の部屋は一階の百五号室で繭は二階の二百五号室だった。丁度翔の上の部屋だ。

 翔が部屋に入り荷物をしまうと放送で

「ピンポンパンポン」「入学式のお知らせを致します。入学式は十三時からに変更いたします」

 と放送が流れた。

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