教会編2

 教会で魔力量検査から数日が経った。

 今日は翔の父母二人とも帰ってくると連絡があったが、しかし本来は帰ってくる予定がないはずなのだが、多分魔力量検査の結果のことだと思う。

 メイド長のみゆさんも連絡入れていたし国が派遣した検査員も報告しなければいけないって言っていたからそのことだろう。

 

 十一時過ぎた頃、

「翔様旦那様奥様がお帰りになりました」

 とリビングで繭が報告してくれる。

 翔は繭にお礼を言い二人で玄関までお出迎えしに向かう。

 

「お父さんお母さんお帰りなさい」

 翔は少し駆け足で両親二人に飛び込んで行った。

 

「おーだだいま」

 父が飛びついてきた翔を抱き抱え母が頭を撫でてくる

「悪いがリビングで話をしよう」

 父がそう翔に言い抱っこしながらリビングに歩いて行く。

 

「そうねいっぱい話したりしたいけどまた仕事に戻らないといけないもの」

 と母が答え少し悲しそうに見える。

 

「かしこまりましたお茶を準備いたします」

 メイド長のみゆさんが一言いい隣に控えていたメイドがさっと厨房の方に向かった。

 父、母、翔、メイド長がリビングに入り繭は自分の部屋に戻って行った。

 

「お父さん」

 翔が心配に父の顔を見る。

 皆が席に着くと父が

「話はみゆと加藤から聞いた」

 加藤とは国が派遣した検査員だと思う。

「予想はしていたがやはり魔力量が多かったか。心配で検査員を信頼出来るものにゴリ押しして正解だったな」

 と父が重々しく話をした。

 

「本来であったらこの嬉しいことではないんだが……、翔は産まれてすぐに魔力を暴走しかけて地震が起こったのだ」

 と父がゆっくりと話をする

「翔が感情で暴走しないように物心ついた時から教育したのはそのためだ。大変だったと思うがすまん」

 と父が唐突に謝ってきた。

 

「えっなんで謝るんですか?。産まれてすぐに魔力が暴走しかけたんですね知りませんでした」

 翔は話を切り替える。

 

「そうだこの事はごく一部しか知らない事だ。翔にも伝えるつもりは無かったんだが今回の件があって伝えざる終えなくなった。本来どの生物は魔力一定数の魔力を持っている事は知っているだろ」

 父がそう翔に聞いてきた。

 

「はい習いました。人間はその魔力で火木水風土の五属性ですよね?」

 翔は習った事を誇らしげに答える。

 

「あーそうだ。人間も生物も魔力がありそれぞれ属性を持っている。しかし魔力が多いとそれだけ危険視される。翔は魔力量が桁外れで水晶が粉になったんだがそれが問題だ!」

 父はそう言い額に頭を抱えている。

「本来は多くても強く光る程度なのだかなー。今、日本の官僚達がどうするか話していて俺と母さんはどうするか連絡あるまで自宅待機になっている」

 と父が付け足す。

 

「申し訳ございません」

 翔が頭を下げ謝ると

「予想外ではあったが魔力量多い事は嬉しいことでもあるから気にするな」

 と父が慰めてくれる。

 

「私としてはまず学園に入るのは確定でしょうね。監視はもちろん付くとおもうし最悪の場合……」

 母が最悪の場合からは口をつぐんで、泣き出しそうな顔をして父を見ている。

 

「そんなことはさせない」

 と繭が扉を勢いよく開け入ってきた。

 

「繭あなた」

 メイド長がハッとした顔で繭を追い出そうと動こうとして

「聞いていたのか」

 と父が苦々しく言う。

 

 「申し訳ありません」

 とメイド長が頭を深々と下げる。

「別に咎めてはいない。座ったらどうだ?」

 と父が笑顔になり繭も椅子に座る。

 

「繭ちゃんが翔を心配してくれて私は嬉しいのだ」

 父が誇らしげに話少し考えてから話す。

「そうだなそんな事させない。いや最悪のことなんかさせてたまるか!俺は何のために世界特魔同盟の代表になったんだ!」

 と父が強く拳をあげ頷く。

 

「そうね翔を死なせはしないわ」

 と母が答える。

 

「あのー僕死んじゃうんですか?」

 翔はえっと言う顔で両親二人に聞く

 

「最悪はそうなるかもしれないってなだけだ。そんな事はさせないけどな」

 と父が言い母が頷く。

 

「ピロピロリン」

 父の携帯が鳴り、父がすぐに電話に出る。

「はい二葉です。……はい。……かしこまりました。ありがとうございます。……はい失礼いたします」

 と父が電話に受け答えをして電話を切る。

 

 翔、母、メイド長のみゆ、繭が父を見つめる

「閣僚会議は先程終わった。結論から言うと翔は学園に通い監視がつくことになった。監視が誰かは言えないみたいだ!」

 父がそう言い安堵あんどの様子だった。

 

「監視はつくけど普通に学園に通うだけなのね?」

 と母が尋ねる。

 

「いや寮暮らしだ。本来は通いだか遠方の生徒や希望の生徒などと同じで寮暮らしになる。監視が目的だろう!」

 父が感情を表に出さず普通に会話するみたいに言う。

 

「そんなー」

 そう答えたのは驚いているメイド長のみゆだった。

 母は何も言わずに下を向いている。

 

「仕方ないとは言え自宅から通えないのは辛いと思うが飲み込んでくれ」

 父はメイド長が子同然に翔を育ててメイドとしても世話をしてくれていることに母共に感謝している。

 

「メイド長、うんうんお母さん。私も寮に入って翔様と一緒にいる!」

 と繭が口を出した。

 

「繭!」

 とみゆが驚き考える。

「繭ちゃんの魔力量は聞いている。ほぼ確実に学園には入学できるが寮には入らず通いに……」

 と通いにと父がその後も話そうとして、

「翔様と通えないなら寮暮らしで一緒に通います!」

 と強く繭が答える。

 

「うーん」

 みゆがメイド長らしからぬ声で反応し悩んでいる。

 

「母さんいいよね!?」

 繭がみゆに同意を求めると

「私個人的にはここから通ってメイドの勉強もして欲しいけど……」

 みゆが悩んでいる。

 

「私翔様と一緒にいたいもん。翔の事好きだもん!」

 と爆弾発言をする。

 

「えっ」

 翔はびっくりした顔で繭を見る。

 

「そのことは知っているけどねー」

 とみゆが言いこの場で言うなと顔をしている。

 

「私も知っているわよ。将来は繭ちゃんがお嫁に来てくれるなら嬉しいわ」

 翔の母が嬉しそうにそう答えると

「えっ」「なっ」

 と翔と父が二人して驚く。

 

「オホン」

 父が咳払いをし、

「その件は一旦置いといて繭ちゃんも寮に入るかを決めよう。寮は定員数が決まっているから来月までに出さないと行けない」

 父が言い繭とみゆが話し合って決めることになった。

 

 今は八月中旬、九月一日に魔力量の結果と特魔学園の新入生の通知が届く。

 拒否権は特別な理由が無い限り断れない。

 

 日本は全国で北海道、東北、関東、中部、関西、四国中国、九州の七校ある。各校寮も完備されていて授業料や生活費は国持ちである。

 入学は四月で夏休み、春休みは家に帰宅できるが寮生活は大変みたいだ。

 学園は初等部は六年生まであり普通校の義務教育と魔力操作や抑え方などを習う。

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