第5話
結局、お金は用意できなかった。
お金目当てで、ヴァルプルギスヴァリアブルドラゴンとやらを討伐しようとしたが、普通に死んだ。
仕方がないので、着の身着のまま病院へ向かう。
「昨日、宇宙の神秘さんと約束したテッドです」
「はい。テッド様ですね。お伺いしております。こちらへ」
可憐な美女の案内を受け、部屋に誘導される。
今日はデートの約束があるので、この美女に僕の魅力を伝えることができず、申し訳ない気持ちになるが、仕方がないだろう。
部屋を開けると。
「来てくれたか、座ってくれ。紹介するよ」
時が止まった。
宇宙の神秘さんの隣に、女神が座っていた。
花嫁のベールを思わせるような、純白の髪。肩より少し上の長さで切り揃えられており、清純な印象を与えるが、左サイドだけを長めに残す事により、優等生と思わせて、少しの反抗心を見せる。そう、まるで悪戯な天使のようだ。
その瞳は紫と赤のグラデーション。
紫は淫靡な印象を与え、僕の心を釘付けにしようとするが、赤がそれを正気に戻す。そのアンバランスな誘惑は、まさに淫魔と妖精の狂宴。
少し華奢に見える彼女の体には不釣り合いな双丘。どうなれば、そうなるのだろうかと研究する必要があるが、僕にはできない。なぜならそこは暗黒大陸。どんな冒険者も、ここにたどり着くことはできないのだ。
忘れてはいけない。紫と赤の狂宴会場の下には、ひっそりと小さな黒の聖域が存在している。心を揺さぶる魅力の聖域。ただの聖域ではない。気を緩めると、この聖域は誰も逃さないのだから。
「彼女は私の友達でね。名前はリーズ」
「どうも、リーズだ。昨日、報告を受けてね。この場を作ってもらったんだ」
声も素敵だ。
「ずっと見ていたよ」
まさか……
「失礼、私は研究者でね。興味を持ってしまうと、その事以外考えられなくなってしまうんだ」
間違いない。
「魔術大会、ドラゴンとの勝負。全て監視させてもらった。単刀直入に言おう」
初めて出会った。
「君は不死者なんだろ?」
ヤンデレだ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます