第2話

 彼女をつくる。簡単な事ではない。

 

 16年間出来たことがないからだ。


 死ぬより難しいと言えるだろう。


 だがしかし、諦める事はできない。


 そして、何より秘策がある。


 旅の道中で拾ったコレだ。


【女はイチコロ♡ラッキーで書1巻】


「ここに書いてある事を試していこう」


「えーと。まず死にかけている女性を探して、命を救いましょう。か……」


「かなりムズいな」


 とにかく行動だ。

 死にかけている女性を探すしかない。


 街をフラフラ歩いていると。

 突如、女性の叫び声が聞こえてくる。


「チャンスだ!」


 走る、奔る、疾走る。


 人混みを躱し、声のする方へ向かう。


 着いた先には、見たこともない花園があった。


 春に咲く花と見間違えるほど綺麗な桃色の髪。


 掴めば折れてしまいそうなほど白く、儚く、細い手足。


 全てを見透かしてしまうような星空色の瞳。


 その下には、小さな黒い星が彼女の美しさを称えるように存在感を示していた。 


その美しき星が、凶刃に落ちようとしている。



「絶対に死なせない」



 彼女に向かっていく刃に、無理やり身体を潜り込ませる。


 瞬間、身体に熱が走る。


 守れたのだ。


 この熱は守り抜いた証だ。


 目の前の下手人は、周りの人間に取り押さえられている。


 美しき星に視線を向けると。


 驚愕の表情を浮かべている。


 今だ。


 今しかない。


 感覚の無くなった手足に力を入れ。


 震える口で無理やり笑顔をつくる。


「ほ゛く゛と゛お゛つ゛き゛い゛し゛て゛く゛た゛さ゛い゛」


「うわっ!病院行ってください!」


その美しい音色を聞き、僕は意識を失った。

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