道中のこと(前編)

 大学の第二言語で週2で教わっているスペイン語の授業が楽しかったのと、スペイン出身でないとはいえスペイン語ネイティブの陽気な先生が面白かったので、そしてなにより漫然とゲームして食べて寝て……って夏休みを送るのがもったいなく感じたので、語学研修にスペインに留学することにしました。色々な大学からスペインに行きたい子が集まる、約3週間の短いような長いような留学です。ちなみに大学生になって初めてスペイン語に触れたために、スペイン語はほとんど話せません。『とりあえず挑戦だ! 為せば成る! いっちゃれ! 言葉わからんけど!』っていう若い精神で生きている人間はどうやら僕だけではないようで、一年生になってからおよそ3、4ヶ月間くらいしかスペイン語を勉強したことのない子やら、本当に全くスペイン語に触れたことのない人までいました。


滞在しているのはマドリッドの中のアルカラ・デ・エナーレスという古風なヨーロッパの街並みが残る美しい街の、アルカラ大学の寮です。駅近最安のビジネスホテルを想像して行ったものの寮の部屋がめちゃくちゃ広くて綺麗です。この話はとりあえず置いといて、まずは機内の話です。おおよそ20時間くらいの飛行機での移動を経てようやく辿り着いたわけですが、機内で面白いことがありました。

ひとつめは席です。ツアーで一緒の子たち、だいたいみんな隣同士で固まっているのに、僕だけなぜか両サイドに知らない普通の観光客が。緊張しましたが、右隣のお姉さんがとてもとても綺麗な麗人で、機内食が出るタイミングで毎回起こしてくれる優しい人でした。


機内でトイレに行きたくなったのでトイレに行くと、トルコ航空の乗務員のお兄さんふたりがいて、トイレ空いてるよ〜って感じでドア開けようとしてくれたんですけど、そこには明らかに人が入っていました。いやいやいやいやoccupiedってなってる。しかもロックされてるはずなのに若干開いた……。トイレはふたつついていたので、もうひとつの方に行きました。


そして飛行機を降りるタイミングで乗務員のお兄さんに呼び止められ、”Do you trip alone?”的なことを聞かれたのでNoと答えると、友達とかガイドと一緒なの? ならいいよ、と通してくれました。もしかしなくても小さい子の一人旅と間違われてる……。欧米人から見たら日本人は幼く見えるというのを実感した事件でした。楽しかった。……もしかしたら単純に僕が童顔なのかもしれませんが。


(後編に続く)

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それでもやっぱり人生が楽しい!ースペイン旅行記ー 時瀬青松 @Komane04

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