第6話☆ゆめみるきかい
シェラのおはなし
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私はシェラ。
元は勇者様に従う天司様に作られた
私や姉様達の役目は局地戦外に戦火が及ばぬよう、第三防衛ラインを守ること。
その役目に異存はありません。
天司様や勇者様のお役に立てるのであれば、幾らでも替えがきくこの存在など使い潰しても苦ではありません。
そんな私たち姉妹に勇者様は言いました。
『あなた達に迷惑をかけることはしないから』
と。
勇者様は間違ってます。
道具である私たちは幾らでも在るのです。
在るから使うのは当然なのです。
そう言い募った姉様に勇者様はそっと抱きしめてこう言いました。
『それでも私の目の前で命を無駄遣いしないで?終わる時は戦争以外の楽しくて幸せな思い出をいっぱい持ってからにしてね』
と。
勇者様のいう、楽しくて幸せな思い出とはその時は解りませんでした。
でも、今は理解できます。
私は第三防衛ラインの小競り合いで身体機関を損傷したまま、戦争終了まで地上に待機してました。
魔王との戦いが終わったとしても、魔物や魔獣は凶暴化したままです。
姉様達もその処理に精を出し、ある程度地上に平和が訪れたのを確認すると、天司様の確認後、天に還ることになりました。
その時です。
ずっと損傷したままの魔力循環器にエラーを確認し、咄嗟に自己修復プログラムを走らせた矢先、今度は浮遊のための重力制御が不可能になり、墜落。
そこからはパパであるクシャートに保護され、娘として過ごすことになりました。
パパとの暮らしは大変だけど楽しくて、村の人も優しくてそんな人達のためにやれることがあるとは誇らしかった。
勇者様はこのことを言っていたのですね。
修復出来ない損傷を抱えたままの私はいずれ召還されることも無く、ここで終えるでしょう。
でも、この思い出だけで、私は⋯⋯。
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最後の記憶は村のママ達とのパン作りでした。
でも今私は目を開けて、懐かしいあの方の気配を2つ確認しました。
片方は勇者様。
もう片方は⋯⋯、いえ、私が口にしても良いお方ではありません。
勇者様があの方のおそばに居るのであれば、私も微力ながらお仕えするだけです。
それに、ちょっとだけ、欲が出たのです。
勇者様が直してくれたこの体は天司の眷属所では無い高出力もあり、新たな能力も付属されました。
だから私は⋯⋯。
「このおふたりのお役にたちたいです」
そんな希望を口にしたのです。
この言葉に、パパもおふたりも、にっこりして下さいました。
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