1章★おんだされたじょうしきしらずども

第1話★おうちをおんだされました

「さて、これからどうしようか?」

「そうですね、空からぐるりと見た限りでは北側に村があるようでしたのでそちらに行きますか?多分転送された位置はここらかと」


 ココネはメイド服の腰に下げられた可愛らしいポーチから地図を取り出すと、ちょん、と右側の辺りを指さした。


「南に行くと街なんだね」

「はい、更に南下すると大王都エイラになります」

「え?ならここエイラ・アスラーク帝国になるの?」

「そうなります」


 ココネと漣は地図を見ながら、うーん、と唸った。

 一応、《地上》に関しての知識は得ているし、出来ればのんびり出来そうなティティア国がいいとお願いしていたからだ。


「父上ぇ……」

「可愛い子には旅をさせろ、ですねぇ」

「その旅の始まりが空中だったんだけどね!」


 今はそばにいない、この地図の端っこで空に浮かんでいるお城に住む育ての親に文句を言った所で……だ。

 ひとつため息をついて、漣は空中遊歩でぐちゃぐちゃになった旅人のマントを羽織り直した。


「あ、ココネ。父上に言われた通り、ステータス偽装しておかないと」

「そうですね。鑑定されたらわかりますが、偽装しておけば安心です」

「「ステータスオープン」」


 2人はそれぞれに、自身のステータスをあれやこれやと弄っていく。

 ただし、漣は今までに接してきた人物が軍部の英雄で最高司令官である父親と、その優秀な部下達や、優しいけれど化け物クラスの王様、自分の義理の姉であり専属メイドのココネしか知らない、という弊害もある。

 それはもちろんココネも同様で、自分のステータスに切迫するような常識範囲外としか出会ったことが無い。

 2人して『この辺かな?』と落とし所を付ける前のステータスがこれだ。


 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

 名前:レン・アストレイ(元:漣星音さざなみ せいん)

 種族:人間と魔族のハーフ。外見は人間より。

 職業:錬金術師/薬師/魔法使い/治癒士

 スキル:錬金術S/製薬S/全属性魔術S/投擲S/短剣S/鎌S/太刀S/罠術S/生活魔法S

 加護:神龍の詫び加護魔王の寵愛/

 称号:神龍の茶飲み友達/異世界転生者

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 名前:ココネ・アンダーソン(下村九寧)

 種族:人間?

 職業:元召喚勇者/漣専属メイド

 スキル:オールラウンダーS

 加護:神龍の加護/魔王の寵愛/

 称号:元勇者/戦闘メイド/義弟大好き/神龍の茶飲み友達

 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「とりあえず、僕は錬金術師と短剣だけ表示で」

「私も漣君専属戦闘メイドだけでいいですね。メイド道とは全ての道に繋がりますので!」


 うんうん、と頷き合う2人。

 もしその場を遠い地にいる育ての親が見たら、「そんな訳あるか!」と叫んだだろう……。


「じゃあ、村に行って少し休ませて貰ったら、ティティア国に向けて出発しようか」

「そうですね!転移魔法や飛翔スキルもありますが、地べた行けと言われましたし!」

「僕、乗り合い馬車乗ってみたいなー!」

「良いですね!」


 キャッキャ!と楽しそうに2人はまず、北の方角にある小さな村を目指すのだった。

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