第13話 目的的な話(飛ばしていいです)
こうして、僕を筆頭とした外交使節団が魔物の一族のテリトリーである山向こうにある丘の下の洞穴へと向かう事になった。
部族の大部分は抗争も辞さずという強硬路線であったが、長老が今一度の交渉にゴーサインを出したのだ。
しかし、それゆえこのミッションの危険度が高まり、何度も長老は慎重な行動と作戦の成功を護衛である傭兵隊の皆さんにお願いしていた。皆さんは、乗りかかった船だからと快くそれを引き受け、戦闘に突入した際に備えての入念な準備を経て、一行は山道で二日ほどかかる行程に出発したのであった。
道中は特記するような事もなく、森に住む獣が何度か襲ってきたくらいで、彼らは護衛の皆さんになんなく撃退された。
思いのほか皆さんはお強いらしく、全長数メートルはあろうかという肉食獣の類を瞬殺する。
なるほど、これだけの戦闘力ならば殴って解決というのが手っ取り早かろうと僕は考えた。
彼らのキャラクターは幾多の戦場で鍛え上げられた、強力な武器と豊富な魔法を駆使する屈強なマジックファイターであって、巨大な魔獣が大挙して押し寄せない限りにおいては、ほぼ無敵と言える強さを持ち合わせているようだった。
強いから好戦的になり、それゆえ多くの戦闘をこなして更に強くなる。
そのようにして彼らは強力な戦闘集団となり、今回もどのように敵を倒そうかという話の流れになっており、それは至極当然の事に思われた。
僕が先般唱えたような事は、無用なリアリズムで不要な理想主義だったのかもしれない。そう思われてならなかった。
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