第9話 通う日々
さて、このような出来事が当初にありつつも僕は足しげくRPG同好会へと通い続けた。
色々と問題はありそうだが、根本的にやりたい事など一つもない僕にとっては腰を落ち着けてしまいさえすればそこがどこであろうとそんなに変わらない気がした。
それに、運動部のシゴキや文化部の人間関係のゴタゴタに比べたら珍妙な芝居に巻き込まれるくらいどうと言う事もないだろう。
さらに、この同好会には、基本的にそういうところになじめなかった人々が
おまけにあしこちゃんまでついてくるとくれば他部にうつつを抜かす暇などない。
ちなみに、そのあしこちゃんはあのような事件後も相変わらずで僕に対して
ただのクラスメートをライバル視するというミッションはどこまで続くのだろうかと注意深く見守っていたのだが、なかなかどうして飽きる事なく続いている。
さすがはあしこちゃんだ、と僕はその健闘を称えた。
もっとも、カーマイル会長をはじめとする諸先輩方も、
「そろそろ力のマナの真の称号を懸けた戦いに
などと雑なアドリブで対決をあおりなどするので、彼女のモチベーションは表面に膜が張ったホワイトシチューの温度のごとく下がりにくくなっているのだ。
こうして見ると、ウロボロス先輩は同好会の存続に
たとえ小芝居であっても、そこに演じる自分とそれを認める他者がいて、それが時に絶妙な世界の融合を見せ、華麗なアドリブ合戦がまるで台本があるかのように展開する事がある。
これは簡単に得られるものではない。RPG同好会あってこそのものだろう。
外から眺めるしかない自分にうらやましい気持ちが芽生えるのも事実だ。
しかし、もし、自分が参加したそのような小芝居が映像化され、親戚一同を招き孫を抱いて開催された
まあ、未来に保険をかけていれば現在手に入らぬものもあろう、とその辺は素直に諦めるようにしてはいるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます