第3話 命名
どうやら、彼らは僕が両親からいただいた最初の贈り物などに一切の興味はなく、彼らと同じく横文字によって構成された珍妙な名を名乗れとおっしゃっているようである。
しかし、「いかがだろうか?」と問われれば、「マジ勘弁してください」としか返答のしようはない。
ないのだが、まあ、これも人生勉強かとも思い、
「ああー、いいですねー」
などと、梅の枝にとまった初春の
すると、会長はうなずき、
「決まった――ようだな」
「しかし、力のマナの象徴たるジャバヲックの
「それはジャバヲックの心がけ次第、ではないかな、ヴァン・フロスト伯。称号が力を呼ぶ事もあろう」
「カーマイル卿は相変わらず現世にご執心のようで」
「なに、
などと不必要な会話が延々と続いていく。
台本などもなかろうに、よくこのような小芝居めいた気さくな会話が継続するものだ、とその一点においてのみ感心していると、バン!!と机を叩く音がした。
あまりの騒音に振り返れば、誰あろう、我が愛しのあしこちゃんが机に両手を置き、肩を静かにいからせている。
「ちょっと、よろしいですか?」
震えた声に、一同が不安げに顔を見合わせる。
僕は浅はかにも、彼女がこの理解不能な限界状況に耐え切れず、遂に立ち上がったのだと思ったのだが、もちろんそんな事はなかった。
考えてみれば、この状況こそが彼女が自ら行動してこの会に入った理由なのだ。そんな明らかな事実に気付けないあたり、まったくジャバヲック
よく意味はわからないが、ともあれ。
「私にも早く――力を与えてください――!」
彼女は手をぐっと握り締め、少し上目遣いで一同を見ながらこの完全にキまっちまってる発言をした。
正直に申し上げると僕は引いた。
「彼のように、儂にもマナを!!」
あしこちゃんは僕より数分先に部屋に入っていたようなのだが、あとを追った僕がのこのこと微妙なタイミングで訪れたせいで彼女の命名式と前後してしまったようであった。
しかし、ここまで熱く所望されるのならば、僕のジャバヲックちゃんを彼女に譲ってあげてもいいとさえ思ったが、それを彼ら流の小芝居に乗せて「我が
カーマイル会長が、にやりと笑った。
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