第3話 君

君は

正直言うと変だと思う

今でも他の星からやってきた宇宙人なのか

実は何千年も生きてる吸血鬼なんじゃないかって

思ってる


そんな君だけど

限りなく私に似ていた


自覚はないけど周りにしっかりしていると言われて

それを周りに言われるのが少し嫌で

仕事ができる分

何かを言われることもある

そんな所がよく似てる


奥手なところも

私と似たようなもんだ

いや、でも君は私よりも奥手かもしれない


距離が近いと引いて

距離は離れていると近づいて


私たちはお互いそうだった

だからこそ何度もすれ違った

お互い似ているからこそ

克服できないことがいくつもあった


正直に言う

ちゃんと人を心の底からかっこいいと思ったのは

君が初めてだった


楽しさの中で人を好きになる感情よりも

笑い合った瞬間に相手への気持ちを確認するよりも

ふと映った目線の先で

黙々と仕事をしている君が何もよりかっこよくて

こうやって人を好きになるんだって

初めて実感した


一緒にいて楽しいとか

見た目が自分の好みとかそれは当然だけど

物事に対する向き合い方と

生き方と

さらっと口にする言葉

それらを好きになると

人は本当にその人を好きになるらしい


好きなタイプは

「尊敬できる人」


この回答を見ると

何をかっこつけた答えだろうといつも思っていた

でも私は限りなくこれに近かった

いやそれ以上だった気がする

尊敬や憧れという言葉では

表せないくらい

この人だって思わせる何かを持っていた


君の生き方が好きだった

20歳という大人の入口で

あの場所で

君みたいな生き方をする君に

出会えたことは本当に幸運だと思う


でも少し逃げる性格があるところは

私には全く似ていなかった

答えを出すことができない時に

君は何度も逃げようとして

私は何度もそれにうんざりした


不器用だけど

それを自分の経験を糧にして

悩んでるけど

打ち明けずに

最後はさらっとこなして

克服していくのが

君だ









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