第2話 私

幼い頃から春が苦手だった

妙に涼しくなるのが

違和感があるほど心地よくなる感覚が

本当に嫌だった


昼寝をする時に

窓を少し開けると

気持ちが良くて


半袖から出た腕が

毛布に当たるときの

暖かさが心地よくて


春の心地よさは

なぜか寂しさをもたらす

不安を感じさせる


昔から別れよりも出会いの方が苦手だった

新しい友達も

新しい環境も

苦手だ

何かに馴染むことは下手ではなかった

未知の出来事に対する楽しみと興奮は

その場にいるときは胸を高鳴らす

でも

その場を離れた途端

今までの環境が恋しくなる

そんな感情を飽きるほど感じさせてくれる春は

本当に苦手だ


そういえば前に引いた恋愛のおみくじに

運命の相手は春にやってくると

書いてあった気がする

でも今思うと君はいつ私の前に現れたのか

あまり覚えていない


春が嫌い


これだけでなんとなく私がどんな人か分かるかもしれない

そんな自分を好きでもあるし

嫌いでもある


昔から計画を持って物事を進めるタイプだった

やった分だけ努力が実るから勉強も好きだった

だからこそ

計画と努力では叶わない恋愛は

私にとって世界一の難題だった


昔から自分の中に確固たる軸があった

それは母親の教えで

人生の中で

様々な選択を強いられるから

そんな時に一つ軸を持っていることは

自分の助けになると

その通りだ

その教えに何度も救われたことがあった


でも自分の中にある軸と芯は

私を冷静沈着で

何事にも興味がない女性に

見せた


自分が恋をする中で

世の中の恋愛を目にする中で

自分の意見を持つこと

自分の中の自立した心が

恋愛の障壁になることを

何度も痛感した


嫌なことは沢山ある

思い出したくないことも

それでもいつも笑顔で

達成感にあふれていて

布団で目を閉じる時には幸せを感じられる人生だ


不器用だけど

それを考えて考えて

弱音を吐きながらも

なんだかんだ最後までやり遂げて

上手く克服していくのが

私だ




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