わがまま
「美暮。最後のわがまま言ってもいい?」
「あぁ、何でも言ってくれ」
「あの世に行っても一緒に居られるように、一緒に千風を探せるように、手を繋いで眠ってくれない?」
少し迷ったけれど僕は
「いいよ」
と呟いた。
「ありがとう。しっかり握っていてね」
刻音の言葉を最期に、僕らは眠り始めた。念の為、刻音が持っていた睡眠薬を大量に飲んだ。千風が死んでから、刻音は睡眠障害に悩まされていたらしい。
大丈夫だよ、刻音。もうぐっすり眠れるから。
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