word4 「美人の先輩 恋愛履歴書」③
『恋愛履歴書
氏名:秋野 亜由美 年齢:29歳 性別:女
告白した回数:0回 告白された回数:10回
交際経験人数:3人 性行為経験人数:6人
15歳 初めての彼氏ができる 相手は同級生バスケ部
16歳 処女卒業 相手は交際中の彼氏 場所はカラオケ店
18歳 初彼氏と破局 お互い別々の大学に進学する為
18歳 2人目の彼氏ができる 相手はサークルの先輩
18歳 2人目の彼氏と破局 彼氏が二股していた為
21歳 バイトの先輩(23)と性行為 以降も交際はせずに複数回性行為
22歳 3人目の彼氏ができる 相手はゼミの後輩
22歳 3人目の彼氏と破局 県外の企業に就職する為
25歳 マッチングアプリで出会った男性(30)と性行為
26歳 SNSで出会った女性(26)と性行為
現在に至る
好きな異性:ルックスが良い人。他人に気を使える、品がある人。
嫌いな異性:不潔な人。肥満。声が大きい。スポーツ観戦が趣味な人。
好きな仕草:集中している顔や考えている顔が好き。ハグされる。
嫌いな仕草:鏡の前にいる時間が長い。やたらスマホをいじる。
性癖:匂いフェチ。石鹸の香りが理想。タバコは無理。
SM:どちらかと言えばM。
好きなプレイ:休日ふとした瞬間始まるセックス。ベッドで正常位。』
いとも簡単に表示されてしまった情報。見開き2ページの形で画面に映し出され、まず左には情報のまとめ。
そして右側には、憧れの先輩「秋野 亜由美」の恋愛歴概要が文章で書かれていた――。
『恋愛に関しては臆病で奥手、好きな人が出来ても自分からは絶対にアタックできない。合コンにも1度も行ったことが無い。異性と話すこと自体は苦手ではなく、狙った結果失敗するのが恥ずかしくて怖い。
ただ、誰にでも優しくできる性格と類まれなる容姿を持つことから言い寄ってくる男性は多く、恋愛経験は豊富。異性として意識していた訳ではないのに告白されることが多くて、デートに誘われた数はもっと多い。
ほとんどの男性を振っていて、異性に対する理想は高め。しかし本人は自分の理想が高いと思っておらず、言い寄ってくる人達のレベルが低いと思っている。
初めて彼氏ができたのは中学3年生の秋。相手は周囲の女子からの人気も高く、亜由美自身も前々から素敵だと思っていたバスケ部のキャプテン。お互いに他の異性には目もくれず、いつまでも1人を愛し続ける、そんなときめく恋愛を夢見ていた亜由美は、4年間と長い期間初彼氏と付き合う。しかし、人気の男子と付き合ってしまったことで、元々美しさを妬まれていた亜由美は本格的にいじめられることになり、この経験はより彼女を恋愛に臆病にさせた。最終的には大学生になっても交際し続けることに迷っていた初彼氏を、亜由美が振る形で破局。
2人目の彼氏はサークルの先輩、3人目の彼氏はゼミの後輩。どちらも好きという程ではなかったが、熱意に負けて交際。しかし付き合ってみてもやはり好きにはなれず、2人目は二股、3人目は中折れと問題点があったので、両者とも数か月で破局。
性欲は人並みにあるものの、交際期間が短く、彼氏との性行為の経験は少ない。1人目の彼氏とは4年付き合ったが、別々の進学校に通っていて部活動にも所属していたので、機会が少なかった。大学生になって一人暮らし出来たらもっとやりたいと話していたが、それも叶わなかった。
21歳の頃、1年に渡って頻繁に関係を持ったバイトの先輩が唯一回数が多い。ただセックスに自信が持てるようになりたいというのが1番の目的で、相手も体目当てだった為、交際には至らなかった。
就職してからは持て余す性欲をどうにかしようと水面下でもがく。交際相手を周りで探すが、アンテナに引っかかる男はなかなかいなかった。初めは道具を使った自慰で性欲を処理していたが、徐々に満足できなくなり、マッチングアプリを利用する。
アプリを利用して出会った男を含めて、数人の男とデートするがやはり誰もぱっとしない。きっちり割り勘やクチャラー、全員1つはこんな男と付き合うのは無理だというNG行動をした。
1人だけ性行為までいったが、直で嗅いだ体臭がトラウマになるレベルで亜由美にとってきつかった。さらにその男は別れを切り出しても全く折れる様子が無く、はっきり臭かったとまで言ったにも関わらずストーカー行為をするようになる。
26歳の時に、ストーカー対策も兼ねて20代の半ばから興味を持ち始めた同性との性行為に挑戦する。相手は格闘家で男性にも負けないレズビアンだったのでストーカーを撃退することには成功したが、性行為は想像を下回ったので、関係が続くことは無かった。
その後は目立った関係や出会いも無く、今に至る。ネットからの出会いは二度としないと決めたが、婚活パーティ等の出会い目的の場にも参加したくない。20代前半の頃と比べると随分減ったが、それでも男からの誘いは定期的にあるので、相手を選ばなければ結婚できる自信はある。
いつかまた中高生の時のようなときめく出会いがあって、ときめく恋ができると信じている。
香水はつけてもいいが、香水無しでもいい匂いがする人が良い。香水を避けるため、背中の匂いを嗅いで相応しい相手がいないか探している。 』
こ、これがあの秋野さんの恋愛履歴書……。
「お、おお…………」
俺は思わず声を漏らしながら、黒いパソコンが表示した文字を読んだ。
これだけで酒を10杯は飲める。夢のような情報。やはりこのパソコンは素晴らしい……。
思っていたよりは普通。というか驚くようなことは無かった。レズセックスはちょっと身を引いてしまうものがあったが、それ以外はありそう。やっぱり美人ゆえの悩みみたいなものもあるんだな。
美人だからこそ選択肢が多くて、振り回されてしまう。選り好みしてたら、気づけばアラサーで売れ残ってしまっている。今の彼女はそんな感じだろうか。
でもAVに出てたとか、不倫してたとか無かったし、十分清純というカテゴリに入る部類ではないだろうか。やはり俺の見立ては間違っていなかった。素敵な女性で良かった。
ただちょっと、プライドが高くてこじらせている感じはする。中学生の頃から男にちやほやされていたらしょうがない気もするが……。
俺はじっくり1度読むと、また最初から読んでいった。今まで憧れてきた先輩の、彼女以外知り得ない情報。しかも思っていたよりがっつりというか、俺が望んだものだけど衝撃的だった。
興奮した。毎日人を変えて同じ検索でも良いと思えるほどに。
中でも俺の目を引いたのは、2人目の彼氏が年下ということだった。俺と同じ後輩という立場で彼女と付き合えたとか羨ましくて腹が立つ。
でも同時に尊敬もする。年下なのに彼女に告白するなんて、想像しただけで鼓動が大きくなる。きっと尋常じゃない勇気が必要だっただろう。
「うーん……まあでもちょっとプライドが高くてこじらせている感じはする……」
「それでも、今は彼氏いないってことだよね……」
「そうか……年下でもいける人なんだな…………」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます