―――

時雨はる

―――

 昨日の夜、テレビを見たんだ。

19時くらいにやってる、バラエティ番組だ。

テレビをつけると、司会者らしき人がこう言っていた。

「―――」

意味が分からなかった。そして、それに答えるようにほかの人も

「―――」「――― ――」

と話して笑っているように見えた。訳が分からない。少し前にテレビを見たときには、普通だったのに。なにがあったんだ。

 

 最初は自分がおかしくなったんだと思った。だから病院に行こうとして、外に出たんだ。すると、隣の家に住んでいるおばあさんが、

「――― ―― ―― ――」

慌ててドアを閉めた。

 なぜだろう。ものすごく怖くなる。さっきテレビで見ていた時は怖くはなかったのに。怖い。自分が変わっていく気がする。

 もう寝よう。明日には、きっと元に戻っているはずだ。


 それから数日がたった。

寝たからといって、元に戻ることはなく。むしろ、前よりひどくなっている。

だけど、もう家に何もない。どこかで食べ物を買わなければ、死んでしまいそうだ。

 ドキドキしながらドアを開ける。

「―――」

 あれ……相変わらず意味は分からないけど、ちっとも怖くない。

 …なんだろう。むしろ―――が――良い。

そ―――

別に―――こと―――― ―――に。

や――り、おかし―のは、—――だっ―――――

「――――」「―――」

「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」

―――― ――――― ――― ――

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――― 時雨はる @ShigureHaru

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