17・正面激突!!(バッシュ視点)
……全く以って。
アフラ・アル・マズダ号が単騎突撃を掛けている今の状況の事だよ!!
『バッシュ。いよいよ突っ込むぞ。準備はいいか?』
イヤホンから伝わってくる、同僚のクリーズの声。俺はマイクに向かって答える。
『なあ。ネレイド提督ってよ。マジモンでイカレてんのか?』
『……バッシュ。それは逃げ口上か?』
あ。ビキっと来た。何だこの野郎クリーズ!! 実際の肉弾戦闘するのは俺だぞ⁈
船頭部分の衝角が敵の船に食い込めば。そこからは俺達、肉弾戦部隊が敵の旗艦内に切り込めるので、俺達(俺一人とアンドロイド兵多数)は、船頭エアロックに中に待機してたんだが。このクリーズの言いようはあんまりにムカつく。
『クリーズ。テメエ、まさか。俺が生きて還らねぇとでも思ってんのか? だとしたらだ。生きて還ったらな……』
『ふむ。操舵長に私が金を払って。ローストビーフでも作ってもらおう。奢ってやるよ、バッシュ。ただし、生きて還ったらだ。でなければ、貴様は約束を反故にしたことになり。悪いのは私ではなく貴様だということになる』
『くそややこしい。優しいつもりか? それで』
『もちろん。私ほどやさしい男はそうはいないと自負しているのでね』
『てっめ……! 絶対にロービーを奢らせるからな!! 喰いまくってやる』
『そうであればそれに越したとはない。行ってこい、バッシュ!!』
『おめえ、いつかホントに誰かにぶち殺されるぞ……』
俺は、そこで通信を切った。
船頭エアロック内のモニターにも、ぐんぐんこちらが迫っていっている敵旗艦の威容が見えた。何じゃありゃ⁈
ムータアズマ級は、このアフラ・アル・マズダ号の三倍近い全長を誇っていたが。
この敵旗艦のデカさは更にその二倍はある。
木星宇宙軍の奴ら、ある意味頭が最高に悪くて。
ある意味、物理的思考で行けば、最大の構えをして待っていやがった!!
『バッシュ!! 突っ込むぞ!! あと20
ネレイド提督の声が、エアロック内のスピーカーから飛び出して響きまわった。
俺はそれに対し、マイクのスイッチを入れてブリッジに返答。
『了……っ解!! バッシュ少佐肉弾戦闘隊、戦闘準備よし!!』
『よく言えたな? この土壇場で!』
『無茶苦茶だが。敵に降りもせず、こちらの要求を通すにはこの手しかねえってのはよくわかった!!』
『そうだな。よくわかっているじゃないか、バッシュ。流石にそこそこに私の古参であるだけのことはある。あと10sc!!』
うおっ!! やべえやっべえ!! 直接光学(肉眼視じゃないけどな)での確認とはいえ、強烈すぎるだろ!! こっちから迫ってんだが、あの敵旗艦のデカさは!!
『あと5sc!!』
『アンドロイド兵隊、対ショック姿勢取れっ!!』
ドガゴゴゴキャガガガガ!!!
ぐわーっ!! なんかスゲエ音がして、なんかスゲエ前後衝撃が船全体にかかってきた!! 俺はぶっ倒れそうになりながらも、姿勢制御を確かにとる!!
『……よし。衝角から船頭部まで。敵の旗艦の腹部にぶっ刺さったぞ……。エアロックから出てみろバッシュ』
『お、おう……。行ってくるわ、ネレイド提督』
『無事に還って来いよ』
『もちろんだ。もちろんだぜ!!』
さて、エアロックからアンドロイド兵隊を連れて、外に出ると。
外は内側だった。いや、敵の旗艦の内部って意味な。
だが……。何だここは。
……死ぬほどだだっ広い!!
こんな中で、敵総指揮官を捕まえることを。この僅か10体のアンドロイド兵と俺でやるってのか……。
俺はさすがに、脂汗とも冷や汗ともつかないものが脇や背中に流れてくるのを覚えた。
ともあれ、ここにずっといても始まらねえ。
『行くぞ、お前ら。指示には一応従ってもらうが。お前らも学習機能付きの立派なAIを持っているんだ。自分の判断が、俺の命令を最終的に守る形ならば、多少の命令違反は構わない。じゃ、行くぞ!!』
なんだか、カニの甲羅みたいな頭から人間の身体が生えている形のアンドロイド兵たちは、俺の指示に従って動き始めた。
さーて、ここんとこ良いとこ無かった、このバッシュさんだが。
実力見せてやりますかねぇ!!
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