第4話 『【中原ダンジョン】三日目』

 あれから二日後。

 俺は今、『大草原で』E級モンスター【グレイウルフ】が目の前で出現リスポーンしたので、長剣ロングソードさやから引き抜く。


『ガルゥゥ!』

「⋯⋯【付与魔法エンチャント迅雷剣エルトール】」


 【付与魔法エンチャント】を唱え、長剣ロングソードは雷をまとう。


 目の前にいる【グレイウルフ】は、外見は灰色の狼でスキルは無い。


 しかし、【グレイウルフ】には武器である『牙』がある。


 万が一噛まれたりすれば、あまり離さないらしく、最悪そのままジ・エンドとなる可能性があるらしい。


 ⋯⋯だがそれは、噛まれれば・・・・・の話だ。


『ガル!?』


 【ハイ・ゴブリン】戦などもそうだったが、ここら辺にいるモンスターは【迅雷剣エルトール】の速さに付いてはこれない。


 ましてや、【グレイウルフ】一匹でどうにか出来るはずも無く、喉元に長剣ロングソードを突き刺し魔石と化す。




「ふぅぅ。ある程度は慣れたかなか?」


 『マジックボックス』から中級回復薬ミディアムポーションを取り出し、それを飲み魔力が全快に回復する。


 【中原なかはらダンジョン】攻略三日目。

 初日から沢山たくさん戦闘したお陰で、ある程度ここら辺のモンスターとの戦闘慣れができた。


 そう思い、俺は空っぽになったびんを『マジックボックス』へとしまい、代わりに携帯を取り出す。


「えぇ〜っと、ここから真っ直ぐに行けば『森』に付けるんだったよな?」


 【中原なかはらダンジョン】には三つのエリアがある。


 【ハイ・ゴブリン】や【グレイウルフ】などのモンスターが出現リスポーンする『大草原』。

 魔法攻撃がメインのモンスターが出現リスポーンする『森』。

 最後は当然、ボスが出現リスポーンする『ボス部屋』。


 これら三つは、後になるにつれモンスターの強さは大きくなる。


 と、このように、俺は『大草原』のモンスターとの戦闘慣れは済んだ。

 そして次は、『ボス部屋』の一方手前である『森』に居るモンスターとの戦闘慣れをしなければならない。


「よしっ、頑張るか」


 俺はそう呟き、長剣ロングソードをしまい、『森』へと移動した。





 ☆ ☆ ☆

「ここが⋯⋯」


 枯葉を踏む歩き、近くに川があるのか水が流れる音を聞きながら『森』へと到着した。


 ───この場所は、どこか『大草原』と雰囲気が似ている。

 

 と、思いながら、俺は不意打ちに備え長剣ロングソードを手に持つ。

 この場所は『森』───つまり木があちこちに生えているので、気配察知がしづらくモンスターの不意打ちに遅れを取るかもしれない。

 

 ⋯⋯まぁ、といっても、仮に不意打ちがあったとしても、俺にはローブがあるのでここら辺のモンスターの不意打ちはあまり効かない。


『グゲ!』

「⋯⋯!」


 声と共に『火球フレア』が迫ったため、俺は回避をする。

 そして、声の出処を見ると【ゴブリン】の上位種───【魔術師のマジックゴブリン】が居た。


 見た目は【ゴブリン】の上位種として同類の【ハイ・ゴブリン】に似ている。

 しかし、唯一の違いは手に持っている武器が短剣ショートソードでは無く、魔法杖マジックロッドという所だろう。


『グゲゲゲ!』

「ちっ!」


 ───モンスターにしては勘が鋭い。


 そう思いながら、俺は『顔』と『足元』に飛んで来る『火球フレア』を避けながら、長剣ロングソードで残った『火球フレア』を斬る。


 【魔術師のマジックゴブリン】は分かって攻撃したのかは分からないが、ローブの弱点を上げるならば『四つ』。


 ・顔 

 ・下半身 

 ・耐久を上回る攻撃 

 ・攻撃は防げても威力は防げない事。

 

 そして、今の状況で弱点を付かれているのは最初の二つ。

 だからこそ、俺は魔法攻撃を喰らうと少なからず負傷するので、後ろにステップをし距離を取る。


「⋯⋯」


 前を見据える。


 【魔術師のマジックゴブリン】との距離はかなりあり、【迅雷剣エルトール】や【暴風剣テンペスト】で迫ったとしても、恐らくは距離を取られ、また遠くから『火球フレア』を放たれる。


 俺も『火球フレア』程度の魔法ならば撃てるが、職業が違い【魔術師のマジックゴブリン】程の精度と強さは無い。


 ならばどうするのか?

 答えは一つ。


 ───『火球フレア』を防げばいい。


「【付与魔法エンチャント氷河剣ブリザード】!」

『グゲ!?』


 【魔術師のマジックゴブリン】は異様な気配を感じて『火球フレア』を放つ。

 しかし、放たれた『火球フレア』は俺に当たる事も無く、目の前で消える・・・・・・・


 【氷河剣ブリザード】は、剣を著しく低温にし、副次効果として『自身の周囲に目に見えない氷の結界』を張る事が出来る。


『グ、グゲー!』


 何発も撃つが『火球フレア』は当たらず俺の目の前で消え、【魔術師のマジックゴブリン】は近づいてくる俺を警戒し後ろへと離れる。


 【氷河剣ブリザード】は魔力の消耗が激しい。

 だからこそ俺は、短期決戦を狙いで【魔術師のマジックゴブリン】に近づく。


『グゲ!』


 『火球フレア』よりも大きく威力が強い『炎撃フレアショック』が来る。


 しかし、【氷河剣ブリザード】の方が一回り耐久力が強いと思い、俺は『炎撃フレアショック』へと突っ込み、予想通り防げた後⋯⋯


「【付与魔法エンチャント解除キャンセル】。【付与魔法エンチャント迅雷剣エルトール】!」


 ⋯⋯【付与魔法エンチャント】の属性を変える。


『グゲ!?』


 【迅雷剣エルトール】で一気に距離を詰め、剣で一閃いっせん

 【魔術師のマジックゴブリン】は魔石と化した。



「⋯⋯ふぅぅ。今の戦闘は少し改善すれば、魔力消耗は抑えられたかな?」


 魔力がかなり削れている事を自覚しながら、魔石を拾う。

 

 こうして、【中原なかはらダンジョン】三日目は、ほんの少し苦戦を強いられながらも無事終了した。





 ────────────────────

【補足】

 主人公は【氷河剣ブリザード】をあまり攻撃としては使わず、副次効果の『盾』(氷の結界)として使用しています。


付与魔法エンチャント】じゃなくてもよくね? と、思うそこの貴方、あまり深く考えないで下さい。


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 次話『【中原ダンジョン】最終日』










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いずれは【勇者】になる主人公 〜職業は【魔剣士】なので全属性が使え、スキルは【未来視】なので未来が見えます〜 M.N @ATFWX

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