第2話 ハイエルフとの出会い
「さて、もうひと頑張りしようか」
オレは再び歩き始めた。
日が落ちかけ辺りが暗くなってきた頃、ようやく森を抜けると、そこには見渡す限りの大草原が広がっていた。
夕日に照らされた草花はとても美しく輝いているように見える。
「うおー! すっげぇ綺麗だなあ!」
こんな美しい光景を見たのは初めてかもしれない。
そしてそれはクランシーも同じだったらしく目をキラキラさせながら景色に見入っている。
「本当に凄いなあ。こんなの日本にいたら絶対に見られないね。ん? なんだ?」
遠くの方で何か大きな影が見える。
ここからだとよく分からないけど恐らく生き物だろう。
徐々にこちらへ近づいて来ているようだ。
一応警戒しておくか。
オレたちはいつでも動けるように身構えた。
しかし、その心配は無用だったようで次第にその姿が見えてくる。
それは巨大な馬車だった。
しかもただの大きな馬車ではない。
馬の代わりに引いていたのはドラゴンだった。
それも普通のドラゴンではなく全身を白い鱗に覆われていて背中には翼がある、いわゆるワイバーン種と呼ばれるドラゴンだ。
そんな化け物みたいなモンスターが二体もひく巨大な馬車なのだから驚きだ。
「うひゃああ、こりゃあすごいなあ」
「ああ、驚かせてごめんよ。おかしな反応を感じたのでね」
「!?」
いつの間にか目の前に人が立っていた。
まったく気づかなかった。
この人、めちゃくちゃすごい人なんじゃ?
身長180センチぐらいある細身の男性で髪の色は白くて瞳の色も薄いブルーをしている。
顔立ちはかなり整っていて美形と言っていい。
それになんといっても特徴的なのは
「耳が長い! エルフ!」
ファンタジー小説とかによく出てくるあのエルフである。
「ほう、エルフのことを知っているのかい? 珍しいねえ」
「あ、はい。本で読んだことがあります」
「そう、それなら話が早い。私の名はエルド。見ての通りハイエルフ族だよ。あ、この子たちはレイヴンとソラリスだよ」
二匹の竜を紹介された。
「あ、僕は、ええっと、ユウトです」
「ユウト君か。君はなぜこの森から出てきたんだい? ここは死の森、君のような子どもが遊びでは入れるような場所ではないんだけど?」
「ああ、えっと迷い込んじゃったみたいで」
「迷い込んだ? では、君と一緒に森に入った人たちは?」
「え? いや、あの、なんと言いますか」
いきなりであった人を信用してもいいのかな?
そんな思いもするけど、この人がオレをどうにかしようとしたら勝てないしな。
「ん? どうしたんだい?」
「えっと、正直に言います。僕、気がついたらこの森の中にいてそこでこいつに出会ってさっきやっと森を抜けることができたんです」
一気にまくしたてる。
エルドさんはしばらく僕をじっと見つめていたけど息を一つはいて
「そっか、大変だったね。じゃあそのあたりの話をゆっくり聞かせてくれるかな? 僕の馬車の中にお入り、ユウト君」
そう言って僕を馬車に招き入れてくれた。
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