私の誕生日

「美葉、持ってきたわよ」


 ロウソクを持ってくると言って、リビングを出ていったお姉ちゃんは、そう言って、直ぐに戻ってきた。


「美葉、ケーキは夜ご飯を食べてから、ね」

「うん。分かった」


 そしてそのまま、テーブルの前に座りながらそう言ってくるお姉ちゃんに私は頷いた。

 私はそんなに食べられる方じゃないけど、今日はケーキがあるから、夜ご飯が少なめだし、大丈夫だと思ったから。





「お姉ちゃん、ケーキは?」


 そして、お姉ちゃんと一緒に、ご飯を食べ終えて、直ぐに私はそう聞いた。

 

「ふふっ、今持ってくるわ」

「うん。ありがとう、お姉ちゃん」


 そう言って、お姉ちゃんは冷蔵庫から、ケーキを取り出して、ロウソクを刺していった。

 そして、15本ロウソクが刺し終わったところで、お姉ちゃんはロウソクに火をつけていった。

 

「美葉、誕生日、おめでとう」


 ロウソクに火をつけ終わったお姉ちゃんは、そう言って、持ってきてくれた。


「それと、これ、誕生日プレゼントよ」


 そして、お姉ちゃんはケーキをテーブルに置いてから、私に髪飾りをつけてくれた。

 

「あ、ありがとう、お姉ちゃん。これも、今日買ってきたの?」


 私はお姉ちゃんにつけてもらった髪飾りを触りながら、そう聞いた。

 お姉ちゃんからの貰った髪飾り……大事にしないとね。


「ふふっ、それはこの前買ってきたのよ」

「この前?」

「休みの日よ」


 ……この前の、休みの日……あっ、お姉ちゃんが、一人でどこかに行った日か。

 そっか。私の誕生日プレゼントを買ってきてくれてたんだ。……彼氏とかじゃ、なかったんだ。……お姉ちゃんが、私を諦めてくれてないんだから、残念に決まってるのに、私は、何故か嬉しかった。


「喜んでくれたみたいで良かったわ」

「うん! 大事にするね」


 私はそう笑顔で言った。

 だって、ほんとに嬉しかったから。

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