姉妹としてのお出かけ

「美葉、準備出来た?」


 オシャレな服に着替えてきたお姉ちゃんが、私の部屋の扉をノックして、部屋に入りながらそう聞いてきた。

 

「今着替えてるから、もうちょっと待って」


 私は着替えてる所を見られたけど、別に姉妹だし、一緒にお風呂にも入ってるんだから、今更恥ずかしい気持ちなんてあるわけがなくて、普通にそう答えた。


 そして、着替え終えた私は、荷物を持って、リビングに向かった。


「お姉ちゃん、着替えたけど、どこ行くの?」


 どこに行くかを聞かされてない私は、お姉ちゃんにそう聞いた。

 

「美葉はどこか行きたい場所、ある?」

「私はどこでもいいけど、決めてないの?」

「昨日急に決めたからね」


 ……決めてないんだ。……まぁ、別に私はお姉ちゃんとなら何処でもいいけど。……ふ、普通に姉妹だからって意味で!


「ふふっ、私も美葉となら、どこに行っても楽しいから、歩きながら決めよっか」

「う、うん」


 お姉ちゃんの言葉に頷きながら、玄関で靴を履いて、一緒に外に出た。

 そして、そのまま自然とお姉ちゃんが私の手を握ってきた。


「そ、外ではだめって言ったでしょ」

「家でも、繋がせてくれないじゃない」

「そ、それは……も、もう子供じゃないんだから、姉妹でも、手なんて普通繋がない、から」


 そう言って、私はお姉ちゃんと繋いでいる手を離そうとするけど、お姉ちゃんが離してくれない。


「久しぶりのデートなんだから、今日くらいいいでしょ?」


 ……お姉ちゃんはデートと思ってるかもしれないけど、私は、ただの姉妹としてのお出かけだと思ってるんだから、離してよ。

 そう思って、私はお姉ちゃんにそう言ったんだけど、お姉ちゃんはそのまま手を離してくれなかった。


「美葉、今日だけだから、ね?」

「……や、約束、だよ」

「ええ」


 私がそう言うと、お姉ちゃんは嬉しそうに、頷いてくれた。

 ……まぁ、今日、だけなら、別にいい、かな。……お姉ちゃんを期待させちゃうかもしれないけど、どうせ言っても、離してくれないと思うし。

 私は、ただ諦めただけと自分に言い聞かせて、お姉ちゃんと手をつなぎながら歩いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る