夢だったりしないかな

「美葉、そろそろ起きなさい」


 私は、お姉ちゃんのそんな声で、目を覚ました。

 

「朝ごはん、出来てるわよ」


 私が起きたのを確認したお姉ちゃんは、昨日のことを思い出して顔を真っ赤にしている私にそう言って、お姉ちゃんは部屋を出ていった。


 ……夢、だったりしないかな。……い、いや、夢、だよ。だって、起こしに来てくれたお姉ちゃんも、いつもと何も変わらずに普通だったし、昨日のことなんて、全部夢だったんだよ。……そもそも、お姉ちゃんのことをそういう意味で好きじゃない私が、あんなこと、許すわけないし。


 そう考えて、私はベッドから下りてから服を着替えて、リビングに向かった。


「お姉ちゃん、おはよう」


 そして、そう言いながら、私はリビングに入った。

 

「ええ、おはよう、美葉」


 すると、お姉ちゃんもそう返してくれて、それを聞きながら私は朝ごはんが置いてあるテーブルの前に座った。


「いただきます」


 そう言って私は朝ごはんを食べ始めた。


「美葉、美味しい?」


 私が一口食べると、いつも通り、お姉ちゃんがそう聞いてきた。


「うん。美味しいよ」

「良かったわ」


 だから、私もいつも通りそう言うと、お姉ちゃんは嬉しそうにそう言った。


「それと、美葉。服を着替えてるみたいだけど、下着はちゃんと着替えた?」


 そしてそのまま、からかうような声色でそう聞いてきた。


「な、何言ってるの……」

「ふふっ、美葉が昨日のことをなかったことにしようとしてるみたいだから、ね?」


 お姉ちゃんにそう言われて、私の体は一気に熱くなった。

 昨日のことが全部夢なんかじゃなくて、ほんとにあったことだって、改めて思い知らされたから。


「し、らないし」


 私は顔を真っ赤にしながらそう言った。

 恥ずかしくて、上手く頭が回らなくて、それ以外に何を言えばいいか思い浮かばなかったから。


「美葉、早く自分の気持ちに素直になってね。……私も、ほんとに我慢できなくなるから」

「わ、私は、いつも素直、だし。そ、そもそも、お姉ちゃん、いつも我慢とかしてないでしょ」


 むしろ、私の方が我慢させられてる方だと思う。……だって、いつも、お姉ちゃんは強引だし。


「ふふっ、まぁ、今はそういうことにしておいてあげるわ」


 お姉ちゃんは意味深な笑みを浮かべてそう言うと、朝ごはんを食べだした。

 それを見た私も、早く食べないと学校に間に合わないと思って、食べるのを再開した。

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