普通のことなのに……

 お姉ちゃんが家を出てから、私は少し眠って、今はテレビを見ている。

 外が暗くなり始めたのが見えた私は、ふと時計を見た。


「……もうこんな時間だ。……お姉ちゃん、まだ帰ってこないのかな」


 時間を確認した私は、思わずそんな言葉を声に出してしまった。……だって、いつもだったらもう帰ってきててもおかしくない時間帯だったから、仕方ないと思う。


 ……お姉ちゃんが、出かける前に私一筋だから、安心していいって言ってたけけど……ほんとに、安心して、いいのかな…………って、な、何考えてるんだろ私。

 そ、そんなこと言われたら、逆に安心できないに決まってる。……私には、お、お姉ちゃんとそういう関係になるつもりなんてないんだから。


 変なことを考えてしまったことを否定するように、私はテレビに顔を向けて、お姉ちゃんが帰ってくるのを待った。

 




 あれから一時間半くらい経って、ほんとに心配になってき始めたところで、玄関の扉が開く音が聞こえた私は、急いで玄関に向かった。


「お、お姉ちゃん!」


 お姉ちゃんの姿が見えた瞬間、私はそう言いながら、お姉ちゃんに抱きついていた。


「美葉、ただいま。そんなに寂しかった?」


 お姉ちゃんは私の頭を撫でながら、そう言ってきた。

 そんな言葉を聞いて冷静になった私は、顔が熱くなって、すぐにお姉ちゃんから離れた。


「ち、違うから! わ、私はただ、し、心配で……」


 そして、慌ててそう言った。

 ……心配するのは、家族なんだから普通のことだし、何もおかしなことは言ってない。

 なのに、お姉ちゃんは嬉しそうに離れた私に近づいて、頭を撫でてきた。


「心配かけてごめんね。こんなに遅くなるとは思わなかったのよ」


 そしてそのまま、お姉ちゃんはそう言ってきた。


「……何、してたの?」


 別に、お姉ちゃんが私の知らないところで何をしてようが、関係ないのに、気がついたら私はそう聞いていた。


「ふふっ、気になる?」

「べ、別に……」

「だったら、まだ秘密ね」


 お姉ちゃんはそう言いながら私の頭を撫でるのをやめて、夜ご飯を作ると言ってキッチンに向かって行った。

 ……私たちはただの姉妹なんだから、秘密くらいあるのが普通なのに、何故かモヤモヤしてる私を置いたまま。

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