ただ気になっただけ
「ごちそうさま」
朝ごはんを食べ終えた私は、手を合わせながらそう言った。
「美味しかった?」
「うん。美味しかったよ」
「良かったわ」
お姉ちゃんがそう聞いてきたから、私は素直にそう言った。
すると、お姉ちゃんはいつも通り、嬉しそうにしながら、微笑んでくれた。
……この前はいつもの事なのにって思ってたけど、私も、この前お姉ちゃんに作ったオムライスを食べてもらって、美味しいって言われたの、嬉しかったな……
で、でも、あ、あれは初めてだったし……あ、あんまり見た目も良くなかったし……だ、だから、嬉しいって思っただけで、お姉ちゃんみたいにいつも作ってて、いつも美味しいって言って貰えたら、お、お姉ちゃん程は喜ばない……と思うし。
私がそう思ってると、お姉ちゃんも朝ごはんを食べ終えたみたいで、キッチンにお皿を持っていくと、何か荷物を準備し始めた。
「お姉ちゃん、どこか行くの?」
「ええ、ちょっとね」
「……そうなんだ」
私はいつもみたいに、一緒に過ごすんだと勝手に思ってたから、少し元気の無い声で、そう言ってしまった。
「ふふっ、そんなに私と居られないのが嫌?」
「ち、違うから! わ、私はただ、お、お姉ちゃんがどこに行くのかが気になっただけ……だし!」
「ふふっ、そうなの?」
「そ、そうなの!」
お、お姉ちゃんだって、プライベートな時間とか、あるだろうし、べ、別にお姉ちゃんが一人でどこに行こうが、どうでもいいし。
も、もしかしたら、もう、私の事なんて好きじゃなくて、か、彼氏とか作ってるかも……しれないし。
私がそう考えていると、急にお姉ちゃんに抱きしめられて、頭を撫でられた。
「い、いきなり何?」
「私は美葉一筋だから、変な心配しなくても大丈夫よ」
お姉ちゃんは何故か、安心させるように、私にそう行ってくる。
「し、心配なんてしてないから! お、お姉ちゃんがどこで何をしようが、私には関係ないし!」
私がそう言うと、お姉ちゃんは私の顔を覗き込んできた。
「な、なに?」
「……なんでもないわ。そろそろ行ってくるわね」
「……い、行ってらっしゃい」
よく分からない行動をしてきたお姉ちゃんを、そう言って見送った私は、自分の部屋に戻って、もう一度眠ることにした。……どうせ暇だし、眠いし。
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