別にいつものことなのに

 朝目が覚めると、お姉ちゃんが隣にいて、私を抱きしめていた。

 ……昨日に続けて、今日も学校が休みだから、お姉ちゃんも起きてないんだと思う。……いや、お姉ちゃんは起きてはいた。

 だって、朝目が覚めた私と目が合ったんだから。


「お、おはよう、お姉ちゃん」


 別にいつもの事なのに、寝顔を見られていた恥ずかしさから、少し言葉が詰まりつつも、私はそう言った。


「ええ、おはよう、美葉」

「お、起きるから、離して」


 お姉ちゃんがそう言ったのを聞いて、私は直ぐにそう言った。

 すると、お姉ちゃんは珍しいことにすぐに離してくれた。


「えっ、うん。あ、ありがと」


 いつもはすぐに離してくれないから、当たり前のことなのに、びっくりしてお礼を言っちゃったけど、気にしない事にして、ベッドから下りた。

 

 ベッドを下りてから気がついたけど、まだこんな時間じゃん。……今日は休みで、昨日みたいに夏希と遊ぶ予定もないから、もっと遅くまで寝てるつもりだったのに……お姉ちゃんに寝顔を見られてた事が恥ずかしくて、勢いでベッドから下りちゃったよ……

 このままベッドに戻るのは、なんか……お姉ちゃんを意識してベッドから下りちゃったみたいになるから、嫌だ。

 

 私は、ベッドから下りてしまったことを後悔しながら、お姉ちゃんと一緒にリビングに向かった。


「今から朝ごはん、作るわね」


 お姉ちゃんがそう言って、何故か頭を撫でてきた。


「な、なんで頭撫でるの!」

「そこにあったからよ」


 私がそう言うと、適当な返事をして、お姉ちゃんはそのままキッチンに向かって行った。

 私は、何となくお姉ちゃんに撫でられた頭を触ってから、ソファに座った。


 テレビをいつもみたいにつけようと思ったけど、見たいやつもないし、今日は学校が休みだから、時間を気にする必要も無いから、ソファに横になった。……正直まだ眠いし。

 




「美葉、出来たわよ」


 瞼が閉じそうなのを我慢していると、お姉ちゃんのそんな声が聞こえてきて、目が覚めた。……まぁ、それは一瞬で、またすぐに眠くなってきちゃったけど、私はソファから立ち上がって、朝ごはんを食べにテーブルの方に向かった。


「いただきます」


 テーブルの前に座った私は、そう言って朝ごはんを食べ始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る