べ、別に普通だったよ?

 お姉ちゃんに料理を教えて貰った日から数日が経った。

 今日は休日で学校が休みだから、私は今夏希の家に遊びに来てる。

 私の家に誘ったんだけど、この前のことがあったからか、断られたんだよね。……いや、ただ休日に私の家まで歩くのがめんどくさかっただけか。


 ……ともかく、夏希が家に誘ってきたから、久しぶりに夏希の家に来た。


「お邪魔します」

「……ん」


 そう言う私に、夏希が眠そうに返事……というか、頷いてくる。

 そしてそのまま夏希が自分の部屋に案内してくれたから、適当に座った。……もちろん夏希とは適切な距離を取りながら。

 いつも私の家に夏希が来た時、馬鹿みたいに体を夏希にくっつけてるけど、それはお姉ちゃんに私を諦めてもらうためだから。……だから、お姉ちゃんの居ない夏希の家でそんなことする必要が無い私は、普通の距離感で座った。


「……この前私が帰った後って、お姉さんどんな感じだったの?」


 夏希が突然そう聞いてきた。

 ……わ、私が、お、お姉ちゃんに、き、キス……じゃない! く、口をつけられた日、だよね。


「べ、別に、普通だったよ?」

「明らかに、普通じゃなさそうなんだけど」


 しょ、しょうがないじゃん。あ、あんなことされたとか、夏希に言えるわけないし。


「美葉? 顔、赤いよ。大丈夫?」

「だ、大丈夫だよ」


 夏希に言われて、この前のことを思い出してしまった私は、顔が熱くなってきてしまって、夏希にそう言われてしまった。

 

「……なら、いいけど」

「そ、そんなことより、あ、遊ぼ?」


 夏希にこれ以上余計なことを言われないように、私は慌ててそう言った。

 

「……ん」


 夏希が頷いてくれたのを見て、安堵しつつ、それを表に出さないようにしながら、夏希が準備してくれるのを待った。






「もうこんな時間だ。……帰らないと、お姉ちゃんに心配かけちゃうから、帰るね」

「……ん。またね」

「うん。また」


 夏希にそう言って、私は家を出た。

 

「ただいま〜」

「おかえり、美葉。もうご飯出来るわよ」


 そして、家に帰った私は、そう言いながらリビングに入った。

 すると、キッチンにいたお姉ちゃんがそう返してくれた。

 いつも通りのことなんだけど、私は幸せな気分になりながら、ソファに座った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る