眠れない

「美葉、出来たわよ」


 お姉ちゃんがそう言って、夜ご飯を持ってきてくれた。

 ……どうせ一人では寝かせてくれないだろうから、早く食べて、早く寝ちゃおう。寝ちゃったら、お姉ちゃんが隣に来ても、変に意識せずに済むし。





「ご馳走様」


 私はそう言って食器をキッチンに置くと、急いで自分の部屋に戻った。

 食べてすぐ寝ると、太っちゃうかもしれないけど、き、今日くらい大丈夫なはず。

 そう自分に言い聞かせて、私はベッドに寝転んだ。


 そしてすぐに目を閉じて、眠ろうとしたんだけど……寝れなかった。

 お昼に寝すぎた……

 早く寝ないと、お姉ちゃんがご飯を食べ終わって、私の部屋に入ってきちゃうのに……

 ただ、そう考えれば考えるほど、眠りにつける気配が無くなっていくのが分かった。


 そして、私が眠れないまま、扉がノックされた。


「美葉、寝たの?」


 そのままお姉ちゃんが入ってきて、そう聞いてきた。

 寝たフリをしようと一瞬考えたけど、また変なことをされるかもしれないから、素直に返事をすることにした。


「……起きてる、けど」

「もう寝たフリはしないのね」


 お姉ちゃんはそう言って、私をからかってくるけど、無視して、私は寝ようとする。


「お、お姉ちゃん、も、もう寝るの?」


 私が寝ようとすると、お姉ちゃんが隣に寝転んでこようとしたから、慌ててそう言った。

 お姉ちゃんも夜ご飯を食べたばっかりなんだから、太っちゃうよ。


「美葉が寝ようとしてるんだから、私も寝るわよ」

「で、でも、食べたばっかりなんだから、太っちゃうよ?」


 私は、お姉ちゃんを遠ざけようと、そう言った。

 

「それは美葉もでしょ? どうせ、一日くらい大丈夫とか思って、寝てるんでしょ」

「ぜ、全然違うし」


 私の考えがバレてるのを隠すように、すぐに否定した。

 すると、お姉ちゃんは私を抱きしめて、頭を撫でてきた。


「あ、暑いから、離れてよ!」


 この前も暑かったけど、今日は更に暑い気がする。

 ……お姉ちゃんにさっきされたことを意識しちゃって、私の顔と体が熱くなってるからだ。


「大人しくしてないと、またキスするわよ」


 早くお姉ちゃんから離れようと、私がじたばたしていると、耳元でお姉ちゃんにそう囁かれ、私の体が固まった。

 ……さっきのことで、ハッタリじゃないってことが分かってるから。

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