意識しちゃう

「美葉、動かないの」


 いつも通りお姉ちゃんに髪を洗ってもらってるだけなのに変にドキドキして、無意識でお姉ちゃんから逃げようとした私はそう言われてしまった。

 

「わ、分かってるから」


 そう言って私は、お姉ちゃんから逃げないように意識して、早く終わることを祈った。

 だって、こんなのおかしいから。私は、お姉ちゃんの事を好きだけど、それは姉妹としての好きなんだから。……きっと、さっきのことを無意識に意識して、ドキドキしちゃってるだけなんだから。


「はい、終わったわよ」


 シャンプーを洗い流してくれたお姉ちゃんが、そう言ったのを聞いた私は、やっと終わったと安堵した。


「体も洗って――」

「か、体は自分で洗うから!」


 お姉ちゃんが言おうとした言葉を遮って、私はそう言った。

 今日も、何も悪いことなんてしてないんだから、この前みたいに罰とか言って、体を変な風に洗われたら嫌だから。


「まぁいいわ」


 お姉ちゃんにそう言われた私は、座っていた椅子を譲って、体をボディソープで洗ってから、お風呂に浸かった。……ドキドキしちゃうから、なるべくお姉ちゃんの方を見ないようにしながら。


 



「の、のぼせちゃうから、私はもう上がるね!」


 お姉ちゃんが体も洗い終えて、一緒にお風呂に浸かろうとしてきたところで、私はそう言って、逃げるようにお風呂場から出た。……そして髪と体を適当に拭いて、いち早く私は自分の部屋に戻った。

 ……またお姉ちゃんに髪を乾かしてもらえなかったけど、別に少し髪が濡れてるくらい、気にしないし。


 ……自分の部屋に戻ったはいいけど、することも無いし、どうせすぐにご飯の時間になっちゃうから、私はリビングに行った。ご飯の時間が近いのに、自分の部屋に行ってたりしたら、お姉ちゃんのことを変に意識してるみたいになっちゃうし。


 そう思って、私がソファで適当に過ごしていると、お風呂から上がってきたお姉ちゃんがリビングに入ってきた。

 ……お姉ちゃんを見てると、またドキドキしてきちゃったから、私は見たい番組がある訳でもないテレビをつけて、お姉ちゃんの事を意識しないように、テレビに集中した。

 

 すると、お姉ちゃんはすぐにキッチンに向かって、ご飯を作りだした。

 ……今日、一人で寝たいって言ったら、寝かせてくれないかな。

 私はテレビの方に視線を向けながら、そんなことを考えて、時間を潰した。

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