ネット創作界隈でヤンデレ的惚れられる事象が理想に描かれる理由

 結論から言えば、そこに関わる人間が異性を本気で好きになったことがないからです。寂しいですね。



 こんばんは、口です。今日は、前述の通りやや不穏な話題を語っていこうと思います。



 先に言っておくと、別にどれが良くてどれが悪いとか、そういう話じゃないです。そこのところ、覚えておいてください。



 まず、俺は恋愛が綺麗で正しいモノだとは毛ほども思っていません。結果が才能や運に大きく左右されますし、成就したかと思えばあっさり瓦解する事もありますし、謀略にも使われることがあるからです。



 ただし、人を好きでいることは幸せです。相手の事を考えるだけで割とハッピーになりますし、セロトニンやらオキシトシンやら、いわゆる幸せホルモン(なんじゃそりゃ笑)が過剰に分泌されて、「お前マジで薬でもやってんじゃねえか?」みたいな行動を平気で取れちゃったりします。



 最高にハイってヤツです。恋愛は麻薬なのです。人間、麻薬をヤれば大抵の人はすっかりキマってテンションも爆アガリになります。アゲアゲです。つまり、そういうことなのです。



 いや、それは覚醒剤でしたか。まぁ、パンピー的には大差ないでしょう。



 こんな説明をすればなんとなく分かると思いますが、恋というのはしてる方が幸せなのです。惚れている方が幸せなのです。気持ちよくなるのは、いつだって好きになった方なのですよ。



 というか、当たり前ですよね。恋愛の一番楽しい時期は、手に入るか入らないかの瀬戸際だと言われているのですから。さっきのパッパラ幸せホルモンに加えて、アドレナリンだのドーパミンだの、勝負事でドバドバ出る物質も手伝って脳内がヤベー事になるんです。



 ふふ、バカですねぇ。本当に。(遠い目をしながら)



 ……さておき、あなたの大好きなストーカーとか、ヤンデレとか。あれら化け物が生まれるのは、こんなメカニズムがあるワケです。



 ならば、この界隈にはその逆。どうして、美少女やアイドル等の称号を持つ異性に惚れられる事や、もしくは多くのチンコやおっぱいに囲まれる事が理想となるのでしょうか。



 はい。つまり、そういうことです。それらのタイトルに関わる人間は、自分がキマってしまうくらい人を好きになったことがないからなのです。好きになる事の幸せが分からないから、メジャー誌によくある『好きな女の子を落とすラブコメ』みたいなのが珍しいのです。



 応援したくなる。この要素がないのが、ネット小説界隈のラブコメの特徴だと俺は考えてます。



 いや、ちょっとはあります。全てではないですよ。1か0か、そういう考え方はやめましょう。



 例えば、恋愛を経験していない人は『好きになったら負け』的な価値観を持っているように思います。軽い失恋をした人も同様でしょうか。「いや、かぐや様かよ」みたいなツッコミを入れつつ、しかし本気でそう思ってる人も多いのです。



 いつか、いい思い出になる。友達と笑い話に出来る。こういうふうに、考えられないのです。



 恋愛における負けとは、ほぼ奴隷を意味します。相手のためならなんでもやってあげたくなってしまいますし、欠点は全然見えなくなっちゃいますし、というかそれすら可愛いと思えてしまうのです。



 その結果、知らず識らずのうちに言いなりになっていたり、貢いでしまったりするワケです。こんなん、客観的に見ればどう考えても損してると分かるため、「ならば負けたくねぇ」という考えに至るわけです。



 もしくは、プライド全振りの無能君が、本気で無条件に好かれる事こそ至高だと信じているのかもしれませんが。どちらにしても、そのプライドを捨てられないということは、好きになったことが無いという結論になるでしょう。同じです。



 そもそも、「麻薬に例えたんだったらやっちゃダメだろ」的な考えもあるワケですが。スポーツやギャンブルで脳内麻薬を分泌させることは違法ではないので、変な揚げ足取らないでくださいね。



 ……いや、でも待てと。



 本気で好きになった結果、後々に酷い目に合わされて、そのせいで恋愛観や性癖が歪んで変な感じになっちゃった奴だっているだろう。そんなふうに思うかもしれません。



 ですが、異性に本気で酷い目に合わされた人間が、ホイホイ寄ってきて「好きだお」と宣い気安くスリスリしてくる相手に対して、それも囲んでスリスリしてくる連中に対して、好意的な感情を抱くでしょうか。



 答えは、否です。恐らく、普通は「怖い」と感じるハズです。男ですらそうなんですから、女なら尚更そうでしょう。暴言や暴力がトラウマになるのって、普通に当たり前ですから。〇〇恐怖症ってありますし。酷い目にあったなら、そっちに振れるハズなのですね。



 それでは、話を戻します。



 どうして一方的に好かれる事が理想となってしまうのかといえば、根本的なところで考え方がヒモだからです。



 誰かに好かれれば、自分が優位な場所に立てます。優位に立てば、先述の逆説的に相手を奴隷扱い出来るワケですから、楽に生活することも可能でしょう。安心が欲しいから、好かれたい。なるほど、道理に適っています。



 羨ましいですね。俺も出来れば働きたくないっす。



 ただし、俺は実際の関係者たちの感情は、これよりも少し複雑だと思います。何故なら、人間は知っていることしか妄想出来ません。つまり、本当に人を好きになったことのない人は、ここまで具体性を持って理想や人物を作り出せないのです。テンプレやパクリにも、限度があるのです。



 にもかかわらず、実際にキャラクターたちはキャラクターとしてこの世界に存在しています。関係者の脳みそから捻り出されたそいつは、別の関係者の共感を得ています。恋愛を経験していないのなら、人を好きになったことがないのなら、そんな気持ちは落とし込めるハズありませんよね。



 矛盾してんじゃねぇか、バーカ。



 ……しかし、実を言うと俺たちは無意識的にこんな人間を手に入れています。とても優しくて、甘やかしてくれて、しかも俺を大好きでいてくれる人間を手に入れています。それは誰か。



 はい、お母さんですね。



 これが答えです。みんな、お母さんが欲しいのです。まぁ、お父さんでもいいのですが。



 何でも話を聞いてくれて、おいしいご飯を作ってくれて、泣いていれば優しくしてくれる。無条件で愛してくれて、絶対に俺を裏切らない。みーんなマザコン或いはファザコンなのです。



 ただ、世の中色々あるとは思います。酷い確執を持つ人もいるでしょう。しかし、やっぱり好きな人の方が多いんじゃないでしょうか。少なくとも、ここにいる人たちはスマホやパソコンで小説を読む余裕のある人ですし。



 まぁ、フツーは恋愛対象にはなりませんが。



 なので、誰かに無条件で好かれることが理想になる。『自分が相手を幸せにしたい』なんて思いもしないワケです。そりゃ、キャラを応援したくなるラブコメは出てきませんし、ここでは流行るワケもないのです。美人は強さ、巨乳は母性を象徴する付加価値であり、本質はこの無自覚な『甘え』なのです。



 そうじゃないと、共感出来ませんからね。



 でも、それって冷静になって考えれば、どう転んでもホラーでしかないんです。実際、俺も何作かヤンデレヒロインが出てくる小説を書いてみて「いや、怖過ぎだろ」と思いました。



 好きになる過程を主人公と共有していない。こんなの、ヒロインが可哀想過ぎますし、悲しいです。だから、結局暴走気味な愛を主人公がどう捌くのかが見どころになり、派手になっていった結果ホラー小説になってしまうのです。



 ヤンデレを受け入れて普通に甘い生活を享受するのは、俺には理解出来ません。あり得る可能性として、主人公の精神が異常にタフなのか、それとも洗脳されてしまっているのか。



 恐らく、後者なのでしょう。やっぱり、ホラー小説です。



 最初に言いましたが、別にどれが良くてどれが悪いとかそういう話じゃないですよ。むしろ、こういう要素をバランスよく散らす方が面白いと思いますし。



 あくまで、俺なりの分析と考察です。おまけにこれらは小説としての考えで、意味も分からず惚れてしまう脳の足りない恋愛は、エロ漫画メソッドに当てはめれば最適化されたいい答えだと思ってます。



 それでは、また何かあったら考え事をしてこんな感じでまとめます。今回は吐き気を催す綺麗事のオチもないですが、この記事自体が綺麗事なので最初っから最後まで全部オチというトリックで締めましょう。

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