ココロノコトワリ

川谷パルテノン

心の理

「心理テスト、好き?」

「ふつうかな」

「ふつうって何? 好きでも嫌いでもない?」

「まあそんな感じ」

「じゃあどっちでもないって言えば良くない?」

「え すげー突っかかってくんじゃん」

「ちゃんと使わないとだめだよ 日本語」

「え なんなの? けんか? これ」

「と ここまでが問題です さてあなたは この状況を踏まえてヤシの実を何個拾いますか? いち、一個 に、二個 さん、三個 よん」

「待って待って え ヤシの実? どゆこと?」

「……よん、四個 ご、五個 ろく、ろっ」

「ストップ ストップ! 選択肢多くね? 何個あんの?」

「一無量大数」

「多い多い多い多い人生を終えてしまう多さ 心理テストとは? とはだよ!」

「つまんない」

「つまんないって言われたってさ」

「ケンくん否定しかしない 正しさみたいなものを中立的立場から俯瞰して毒にも薬にもならない当たり障りない安い言葉に置き換えて俺はわかってる感だして満たされようとする」

「全部言うやん や そんなことないですよ 俺はミーちゃんのためを思って」

「絶対違うよ ケンくんは自分ばっかり! 私はただケンくんに味方でいてほしいだけなのに」

「なんか  ごめん」

「と ここまでが問題です さてあなたはこの状況からライオンとブタとワニと仏像を対岸に運ばなくてはなりません ところがブタはワニとライオンに食べられてしまう可能性があり共に渡ることはできない 最良即ち無血かつ最少で川を渡りきるために何往復必要でしょうか? いち、一往復 に、」

「二往復、じゃないのよ なんなのさっきから 仏像の意義は!?」

「一無量大数まで聞いて!」

「何のための十の六八乗往復! 何を乗せてんだ!? 絶望か?」

「もう無理なのかな 私たち」

「そんなことないよ たかだか心理テストでダメになんかならないって」

「軽んじてるよね ケンくん軽んじてる 軽んじろンリネス」

「うむ何ロンリネス? 逆に聞くけどミーちゃんは僕たちがそんな脆い関係性だって思うの?」

「心理テスト?」

「聞いて 僕ってそんなに信用ないかな?」

「わかんない」

「わかんないって言われちゃうと じゃあどうしたらいい? 直すよ 僕はミーちゃんのこと好きでいたいから」

「じゃあ最後まで問題をきいて」

「それはできま    せんッ!」

「やっぱりダメなんだーーーーッ」

「落ち着いてミーちゃん! ミーちゃんだってきっと言い終えれないから!」

「あーぁーああーあぅあーーーーッ」

「落ちつこ? ね? ミーちゃーん」

「と ここまでが問題です あなたは……



別れた。

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