第2話 ギルドランキング
俺は異世界に転移していた。
14歳の少年がこの世界でどうやって生きるのか? 細かいことはわからないけれど、お金が必要なのはどの世界でも同じだろう。
俺のステータス画面には、職業、魔獣使い、となっている。
その職業を利用して働けば、お金は稼げるはずだ。
「そうなるとギルドだよな」
『クケ?』
「ふふふ。冒険者が仕事を貰う場所だよ」
村人に道を尋ねながら到着する。
そこは小さなギルドだった。
収容人数は100人くらいだろうか。
カウンターには受付嬢がいて、丁寧に対応してくれた。
「仕事が欲しい?」
「うん。魔獣使いなんだ」
「では魔力の神ズノーブレイディアスと契約はなさっていますか?」
「なにそれ?」
「ステータスを空中に出す能力ですよ」
「ああ。それなら出せます」
「なら、当ギルドの登録だけで結構ですよ。この用紙に記入してください」
「一つ聞いていいですか? 俺はその魔力の神と契約をした覚えなんてないんですけど?」
「生まれつき持っていたのだと思います。そうじゃない人は神殿で契約が必要なんです」
「へぇ……」
じゃあ、俺がこの世界に転移したのは、その神の力なのかな?
「では、記入をお願いしますね」
「え、あ、はい……」
そういえば、異世界の文字ってどうやって書くんだ?
不思議なことにスラスラ書けてしまった。
読むのも書くのも、以前から知っていたみたいな不思議な感覚だ。
俺は初級の冒険者になった。
冒険者にはギルドランキングがあって、この空中で表示させられるステータスを所持する冒険者だけで順位を競い合う。
その規模は全国規模。全てのギルドが対象になっていて、順位の基準はクエスト攻略の実績らしい。
俺のランキングは9503位。
受付のお姉さんに聞くと最下位らしい。
まぁ、それは構わないや。少しずつ上げれる楽しさがあるしね。
現在のレベルは1だから、それを上げてクエスト達成の実績を作れば順位は上がるはずだ。
初めての
「よし。行くぞクク!」
『クク!』
と、意気込んだ時だ。
中年の男が声をかけてきた。
「ほぉ。こんな田舎の村に魔獣使いとはな。珍しい」
その人を皮切りに冒険者たちが集まってくる。
どうやら、俺の職業は珍しいみたいだ。
「はん! レベル1かよ。初級者じゃねぇか」
「あなたは、どんな魔獣をテイムしたのよ?」
と、聞かれたので、ククをみんなに紹介する。
そしたら、
「「「 ギャハハハハーー!! プチトカゲかよーー!! 」」」
場内、大爆笑というわけ。
まぁね。俺だってやっちゃったと思ってるよ。
「おいボウズ。俺様はレベル42だ。ギルドランキング2304位」
へぇ……。
なんかすごく強そうだな。
「俺っちはレベル36。ギルドランキング3560位だな」
ほぉ。
「このギルドで一番強い人は誰ですか?」
「んなもんジャルザに決まってるぜ」
と、男は俺の耳元で語る。
「ほら。あそこに座ってんだろ? 黒ずくめの剣士がよぉ。レベル61。ギルドランキング722位なんだぜ」
確かに、たたずまいが他の冒険者とは違うな。なんていうか、殺気立って怖い感じだ。
「脅威の
「ミラーズって?」
「千位以内のことだよ」
「千位以内って、そんなにすごいんですか?」
「たりめぇだろ。おまえ、そんなことも知らんのか?
ジャルザは酒を飲む手を止めた。
ゆっくりと立ち上がるとこちらに向かって来る。
あれ? もしかして話し声が聞こえたのかな?
「ひぃい!」
え? レベル42のおっちゃんが逃げた。
ジャルザは俺を睨みつける。
「ガキが。ここは遊ぶ場所じゃないんだ。帰ってミルクでも飲んでいるんだな」
そう言って外に出て行った。
やれやれ。
まだレベル1だから仕方ないじゃん。
まぁ、いいや。
俺はククとのんびり行こう。
ゆっくりと初級クエストをこなして楽しくやるんだ。
などと思っていると、
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
突然の地響き。
同時に、ギルドに女の人が入って来た。
「はぁ……はぁ……」
と、息を切らす。
金髪で耳の尖った女性。
肌が白くてかなりの美人。
息遣いとともに大きな胸がたわわに揺れていた。
すげぇ。エルフだ。
めちゃくちゃ美人。
「大変です! この先にグレイテストゴーレムが現れました!」
ギルド内は大騒ぎ。
おそらく相当に強いモンスターなんだろう。
「あわわわわわ! 終わったぁああ!!」
レベル42のおっちゃんが泣き崩れる。
「おっちゃん。そのグレイなんとかってモンスターは強いの?」
「強いに決まってんだろうがぁあ!! S級モンスターのグレイテストゴーレム!! たった1匹で小国を壊滅させることができる凶悪なモンスターなんだからよぉおお!! こんな村、一溜まりもねぇえええええ!!」
「あ、でもさ! ここにはジャルザがいるじゃん。
そういえばどこに行ったんだろう?
と、店から出て見る。
うおッ!!
それは100メートル先。
巨大な人型のモンスターがこちらに向かって歩いて来ていた。
「デカっ!」
体高は30メートル以上はあるだろうか。周りの木々より遥かにデカい。
そして、そっちの方から全力で走って来る者がいた。
「うぉおおおおおおおおおッ!!」
おお!
ジャルザだ!!
「みんなを助けに戻って来てくれたんだね?」
「バカが! 逃げてんだよぉおおおおお!!」
ええええええええええええええええ!?
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