第34話【 小川で訓練 】
アルガロスのオーラ循環速度上げに付き合わされている、淡いピンク色の長い髪の女の子。
勿論、カルディアも訓練を……やらされていた。
何故、エルがカルディアに声を掛けたのか?
それは彼女のボイスを見たからだ。
〜〜〜〜〜 VOICE 〜〜〜〜〜
●カルディア
●魔力クラス:E
●総合値:126
●魔力濃度:103
●オーラ濃度:117
●オーラ循環速度:23
●生命力:243
●スキル
・基礎身体強化
・祝福された力
・祝福された知識
・祝福された創作能力
・祝福された制御能力
●魔法スキル
・基礎攻撃魔法
・基礎回復魔法
・複合回復魔法
・特殊複合万象魔法
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カルディアもオーラ循環速度が低く、自身の能力が出せずにいた。
モサミスケール曰く、“ 特殊複合万象魔法 ” と言うのは、超激レアスキルで習得するのはかなり難しいのだが、
” 何でも有りな無茶苦茶な魔法 “
らしいのだ。
言わば、一握りの大賢者より遥かに優れた能力を持っている事になる。
それを知ったエルが、アルガロスに便乗しカルディアをここまで引っ張ってきたのだ。
カルディアは、自身の背丈半分位の杖を持っているが、それは使わず、エルがこの辺りに落ちていた枝でお手製の杖を作り、その杖でオーラ循環速度を上げる訓練をしていた。
杖の先はV字型になっており、そのV字型の間に小枝を挟み、小枝の中央に突き刺した5枚もの葉っぱをオーラでクルクル回せと。
そんなカルディアの頭の上には、モサミスケールが乗っていた。
「1枚しか回らない……」
3日間続けているのにこの成果……。
カルディアは、そう思いながら肩を落としているが、モサミスケールの見立ては違っていた。
【 順調じゃよ! 1枚回せればカルディアのオーラ循環速度はかなり上がっとるわ! 】
「えっ? そうなの!?」
【 じゃからそのまま集中じゃ!! 】
「うん。分かったわ!」
笑顔のカルディアの上で、モサミスケールも笑顔を浮かべていた。
エルからモサミスケールの事を聞いた時は、心臓が飛び出す程驚いたカルディアだが、今では二人とも仲良く笑顔だ。
河原の石の上に座るリッサが、アルガロス、カルディアを眺め、不貞腐れながらつぶやいている。
『変わった奴等だなぁ……』
何故リッサがこの場にいるのか? それは、ペトラオスがまだ、静養中、治療中で、エインセルギルドが活動出来ないからだ。
バルコリンにはアスクレピオス病院にクラスBの回復魔法士がいるが、全てに万能と言う訳では無い。
回復までには少し時間がかかると言われたのだ。
それと……、エルから召喚魔法はまだ使えないと聞いていたが、引っ込まない “ モサミ ” の存在を明かしてくれたので、その珍しい召喚獣を眺めていた。
『何か…色々変わってるよね……。最近驚きっぱなしで疲れたわ……』
『あれも……』
そう言いながら後ろを振り向くと、エルがうつ伏せで手足を広げ、地面スレスレだが空中に浮かんでいる……。
『浮かぶ奴なんて聞いた事が無い!!!』
リッサは、心の叫びを青空に投げつけていた。
エルが何をしているかと言うと、魔力と霊力が均等になる様にオーラの流れをコントロールしようとしているのだ。オーラの流れが速すぎて、その反動で浮かぶ事が稀にある……。
しかし、摩擦で熱が発生する為、長くは続けられない。
これは、モサミスケールからの提案で、平常時にこれをやると、魔力と霊力が安定するかもと言われたからやっているのだ。
” 器の強化 “
それに繋がるなら何でもやろうと、エルは決めている。エルは目を閉じ神経を集中させながら、オーラの流れをコントロールしていた。
<ブオオオオ━━━>
◇◇◇◇◇◇◇
それから5日後━━━━
7日間に及ぶ魔物の広範囲捜索も無事終わり、いつも通りの日常が戻りつつあるバルコリン地区。
チロチロ流れる小川の水。同じ所で、訓練を続けるエル、アルガロス、カルディアの姿がある。
勿論リッサも、見物がてら暇つぶしに同行していたが、暇すぎて彼女も時折見様見真似で訓練をしているみたいだ。
アルガロスは何とか、石を斬る事が出来る様になったが、まだ半分位は斬れずに飛んでいく事がある。一方、カルディアは5枚の葉っぱを勢い良くグルグル回していた。
【 いけっ! カルディア!! 】
モサミスケールのその言葉を合図に、オーラ循環速度をグンッと上げた。
さらに勢い良く回りだす5枚の葉っぱ。あまりの速さに……。
<パァンッ>
と杖の先が、大きな音をたて弾け飛んでしまった。
「キャッ」
「えっ? どしたの?? 何これ??」
弾け飛んだ杖の先を眺めながら、困惑ぎみのカルディア。そこへ近寄ってきたエルは、笑顔を浮かべて喜んでいた。
「凄いね、カルディアは!! もう出来ちゃったんだ!」
「私、本当にオーラ循環速度が上がったのかなぁ?」
目には見えないから仕方がない。感じ取るしかないが、カルディアの経験はまだまだ浅いので、実感が湧いてこないのだ。
【 上がっただけじゃ無いわぃ。オーラ循環速度のコントロールが出来てる上、つられて魔力濃度もふんだんに上がっとるわ! 】
「ほ、ほんと!?」
喜ぶカルディアをよそに、離れた所で剣を振っているアルガロスが……荒れていた。
「くそー!!」
<ガキンッ、ガキンッ>
アルガロスが大声を張り上げ、石相手に暴れている……。どうやら集中力が途切れて、全く石が斬れなくなった様だ。
そんな様子を見ていたリッサは頃合いだと思い、みんなに声を掛けた。
「休憩がてら昼飯にするか!!」
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