第12話――その他大勢
『あなたは、もはや、ここでは、その他大勢と同じなのです』
ハッとするようにリーダーは周囲を見回す。
「……
その声にリーダーが振り返ると、多くが伏せている中、キャップを後ろ向きに被ったブロンドヘアの
「……! 伏せていろ――」
自身の
『いい
ホール全体がざわつき始めた。
「……何? ……
何の
すると、軽く言い添えるように、穏やかな
『あなた達は、皆、
「……ちょっと! 待ってよ! 私はただ
「おい!
リーダーが彼女の言葉に鋭く反応して、そちらを振り返った。
しかし、
「
「……なんだと……?」
怒りを抑えるように
「私は、この人達みたいな
「
その光景を見ていた
「もう一度言ってみろ!」
怒鳴りながら、もう一度、拳を振り上げた。
突然、その腕が空中で止まった。
殴られる事を覚悟していた
目の前に立ちはだかるリーダーの背後から、
その光景を見ていた全員が、
リーダーを抑えていたのは、同じ
彼は
「
言葉に詰まりながらも、必死に何かを発そうとする。
「……あ……?」
すると、リーダーはそれまで
「何?」
「あ……その……」
「
「す……すいません!」
慌てて、その手をリーダーの腕から離す。
床で倒れている
「何してんの? お前?」
「え……いや……その」
「はぁー。なるほど」
すっ
「お前、この女に
「……え?」
茶髪の青年は、不意を突かれたように、ただ戸惑いの表情を浮かべる。
「じゃあ、いいよ。やるよ」
言っている意味がわからず、青年は目を泳がせるばかりだ。
「え? お前、この
尚も返す言葉がなく、ただただその場で棒立ちするしかない。
「聞こえなかったのか? ヤレって言ってんだよ。今ここで。ズボン
「どうした? ヒロ。
そう言うと、リーダーは、いきなり彼のズボンのベルトに手を遣り、強引にそれを外そうとした。
咄嗟に、
「……なんだ……?」
両手を控えめに前に出して、青年は尚も言葉に詰まっている。
「何? え? ……まさか……俺の言う事が聞けねぇとか? そんなわけねぇよな?」
青年は
「……できません……」
周りの者達は、同じ銀ジャンパー同士のその異様な遣り取りを見て、どう反応していいのかわからない様子だ。
「聞こえねぇな」
「その……できませ―――」
青年がその言葉を言い切る前だった。
リーダーの拳が、思い切り彼の
「誰にモノ言ってんだぁ! コラァ!」
茶髪の青年は必死で
リーダーは、目ざとくその部分を見逃さないように力を入れて踏みつけながら、さらに怒りの
「お前ごときが何、俺に逆らってんだよ!
「自分一人では何もできねぇのに、
繰り返される
「今まで
痛みの声も許さないように、
思い切り顔を殴られて
青年の
リーダーの動きが突然止まった。
彼の意思とは関係なく。
いつの間に、近づいてきたのか。
背中に密着され、後ろから
動かそうと思っても、まるで
リーダーは背後を振り返ると、思わず全身に寒気を感じた。
血の気のない青白い顔が、すぐ鼻先にある。
まるで、
(……なんだ……こいつ……)
ネイビー色のジャンパーを着たその男は、尚も背後からピタリと体を密着させたまま表情を変えず、リーダーの耳元で
「それ以上やると、
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