砂金の一粒

自転車の車輪に裾が巻き込まれて

俺は何度も同じ場所で転げ直して

額に擦り付いた砂になりたくなって

人に聞けば昔はここも川だったって

大岩の下で身を隠している砂金だって

人を選んで皿の隙間に身を詰まらせて

米やら油やら薬やらに姿を変えて

人を生かしているというわけで

ああ、なら俺はこの身を何に変えて

人の役に立っていけばいいって

わからないままここまで生きてきて

ああ、だから俺は死んではじめて

誰かの砂金になろうと思い立って

米やら油やら薬やらに姿を変えて

あんたの身体の一部になりたいって

言ったら俺は間違ってなかったって

思っていいと言って欲しくて

そうこれは冗談に過ぎなくて

そうこれはただのおかしな話で。

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