第2話

「で、選挙ってどうやって出るの?」

「え?立候補したら出れるんじゃない?」

 姉は情報収集を始めた。

「やっぱ、今の市議会議員さんとかに挨拶に行った方がいいのかな?」

「あー、市議?あー。そんなんいるんか。まぁ、いるんだろうけど。市議っていま、誰がいるの?会ったこともないよ」

 そんなものになろうとしているのか、この姉は。なぜなりたいのだろう。まだよくわからん。

「てか、市議って何してんの?」

「私も知らないけど。3年前の選挙でポスター貼ってあったよね。『どうやったらなれますかー?』って聞いてみたらいいのかな?」

「前の選挙のこととか何も覚えてないw

 俺まだ14歳とかだし。普通の企業とかだったら、OB訪問とか行くけど…。でも、今度の選挙でライバルになりますよって宣言しに行くようなもんだろ?」

「あーそっか。まぁ、じゃあネットで調べたらいいかな!立候補、方法、で検索!」

 姉は一応デジタルネイティブではあるものの、情報収集能力はそんなに高くなかった。

「へー!供託金?30万?ウソ、そんなにかかるの?しかも帰ってこない可能性あるの??」

「え、高くね?」

 姉はにやにや笑っている。

「へへへ!ビックリした?私も最初はビックリしたんだぁ。でもこの辺はちゃーんと知ってるんだ!ちょっと票取れたら、供託金は返ってくるんだよ!」

 姉はさっきのあやしい本を振る。

「他の仕事でも、資格とか取ろうと思ったらそんくらいはかかるんじゃね?」

「たしかに」


「なんにせよ!」姉は大声を出した。

「私は働いている!長期休みしかたぶんできない」

 ん?何が言いたいのかな?

「隼人!まずはこの本を読み、私を市議会に送るのを手伝ってほしい!!」

「はぁ?だったらなんでなりたいかくらい言いやがれ」


 イラッとしたのだろう。

 俺は幼稚園教諭の愚痴を夜通し聞かされることになった。

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選挙出てみた たけなわうたげ @chassy5

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