いちにっち番外編 イチの子供の頃の話
野苺スケスケ
第1話 ケーキ
イチの子供の頃の話。
本当はこないだイチと二人きりで温泉旅行に行って、その話を本編に書こうと思ってたけど、あのカワイイイチは僕だけのものにしようと思いまして…
イチはよく子供の頃の話をしてくれる。
「こんなもん!」って投げつけたお店の手伝いの話
嫌いだった保育園の先生への復習の話
一人ぼっちイチのパチ屋の話
男として育てられた爺ちゃんの話
お姉ちゃんをイジメっ子から守った話
やたら犬に好かれる話
まだまだ沢山あります
どれも楽しく話してくれるから中身もそれを話す時のイチも僕は大好きです。
少し可哀想な話もあるけど、イチらしいなって思います。
今回は僕がケーキを作ったことがきっかけでイチが話してくれたケーキの話を書きます。
では…
イチは僕の作るクッキーが好きだ。
クッキーはとても簡単に作れるし美味しいからよく作ってた。
ただスイーツってのは後片付けが面倒だ。なので最近あまり作ってなかった。
ふと思いたって
「明日なんかおやつ作ろうか?」
って聞いてみた!
「ホントに?ホントに?イチのために?イチだけのために?」
お…おうそうきたか。
そう言ってイチはインスタでスイーツを舐めまわすように見ていた。
「どーしよどーしよアレもコレも」
絵に書いたように喜び悩むイチはとても愛おしかった。
結局イチゴのケーキと出来たらいちご大福ということになった。
いちご大福は餡と餅のバランスが難しくイマイチだったが。
ケーキはイチがどこのよりも美味しいと大絶賛してくれた。
その日の夜になってもイチはケーキを作って貰えたことをずっと喜んでいた。
「何がそんなに?」
と聞くと
「だって…」
そう言ってイチの子供の頃の話が始まった。
イチのお姉ちゃんは昔から女子力が高く何かある度にスイーツを作っていたそうだ。
イチは出来上がったら食べさせてもらえるという報酬につられ、手伝っていた。
だが、一番キツいことは全てイチがやったらしい。
電動のやつなんてないからひたすら泡立てたり…
そして、得られた報酬は自力ではとても立っていられない薄くカットされたケーキとか、焦げてしまったクッキーとかだったり。
怒ったイチは母ちゃんに告げ口し
姉ちゃんは母ちゃんに怒られ
これが一連の流れであった。
さすがのイチも何度も繰り返すとバカバカしくなり
「イチー!ケーキ作るよ〜」
という姉ちゃんからの呼びかけにも
「イヤだ〜」
と断るようになった。
しかし、憧れはあったみたいで自分でも作ってみたかったそうで
ケーキは無理だけどクッキーならとチャレンジした。
前日に友達の「みぃちゃん」にウッキウキで
「明日クッキー作ってくるけん!」
と言って張り切っていたそうだ。
この「みぃちゃん」って子はイチの子供の頃の話によく出てくるが、転校によって何十年も会っておらず、未だにその子が住んでた家の近くとか通ったら
「あ〜ぁみぃちゃんに会いたい」
と言っている。
結局イチの作ったクッキーは焦げてしまい失敗に終わったが、それでもみぃちゃんは、イチちゃん美味しいね!って全部食べてくれたそうだ。
みぃちゃんのお母さんはクッキーとか作るの上手くてイチの作ったやつなんか、絶対まずかったはずなのに…
そう言って
「えーん!みぃちゃんに会いたいよ」
と嘆いていた。
というのがイチのケーキの話
このあとこれとは関係ないが、イチは姉ちゃんに凄い復習をする…
トンボ事件である。また次の機会に…
イチは誰かに自分の為にケーキを作ってもらったことがなくて
だから僕が作ってくれたことが凄く嬉しかったそうです。
ちなみにイチは、チョコとか子供の頃好きじゃなくて、おやつと言ったら
芋の天ぷらとかトマトとかだったそうだ。
まぁ…スイーツを作るのは後片付けが大変だけど。
あれほど喜んでくれるなら作りがいがあるので、これからちょくちょく作ろうかなと思いました。
しかし、薄いケーキの話をする時、めちゃくちゃ指の間隔狭かったんだが。
「あんにゃろ」とか言いながら
そんな薄さに切れる姉ちゃんもスゲよ。
いちにっち番外編 イチの子供の頃の話 野苺スケスケ @ichisuke1009
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