『氷鬼の涙飴』

 その人はアタイを見つけるなり指さして、「隊長、鬼です!」と言ったンだ。

 だから「そうだよ、アタイは氷鬼だ」と言い返した。

 そしたら次には雪玉を投げつけて、「あっちへ行け! 鬼女め!」と言ったンだ。

 だから「結婚しかない」と思ったのさ。


 その人は、美しい太陽のような髪してたンだ。

 アタイは生まれも育ちもこのあたりだから、

 太陽を見られる日ってのは限られてる。

 憧れだった。

 大好きだった。

 ずっと届かないそれに焦がれてた。

 だから「結婚しかない」と思ったのさ。


 氷鬼ってのは、惚れた相手に雪玉を投げる。

 だからお返しに、私の涙を指ですくって、その人の口に放り込ンでやった。

 氷鬼ってのは、涙で誓うンだ。

 だって「結婚しかない」と思ったからさ。


 ふふン。

 アタイの美しい旦那さン。

 これからは太陽が出ても出なくても、ずーっとキラキラ、綺麗なままだよ。

 ずーっと、ずーっと、一緒だよ。


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『氷鬼の涙飴』

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 材料

 ・氷鬼の涙

 ・氷鬼の恋心


 効能

 ・死した後、不死の身体を手に入れる

 ・永遠の恋に出会う


 レシピ

  不明


 備考

  氷鬼の一族にしか作れないため、レシピは一般に伝えられていません。

  料理家、美食家として名をはせたジョンコンスタンス・ウィーズリーが

  氷鬼一族に接触しなんとかレシピを得ようとしましたが、

  彼はその後戻ってくることはありませんでした。

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