第4話勉強について

これは、過去の蛮行も思い出では美化される。はっきり言って、勉強は大変だった。

部活とバイトに明け暮れ、帰宅するのは夜9時。それから、風呂、飯済ませてから、10時過ぎから、夜中の2時くらいまで勉強した。

ラジオを聴きながら、熱帯魚と金魚の水槽のエアポンプの音が心地よい。

休日は、殆んど机にかじり付いていた。

僕は、思考や読解が苦手。何でも、暗記に頼った。こんな脳ミソじゃ、戦えない。

しかし、学習塾も通わず、過去の問題集を兎に角、数こなし、暗記していった。

高校では特進クラスにいたが、上の中くらいだった。

この偏差値の低い高校で、こんな成績だと笑い者にされる。実際、大学時代、学習塾講師の面接を受けて、塾長から、

「あまり、偏差値の高くない高校ですね」と、言われ恥ずかしかった。

だから、僕は出来るだけ大学や学生時代の成績の事を話すのは避けている。

取り分け、技術も無いし、僕は世捨て人のようにひっそりと暮らしたいが、結婚して子供がいるので、嫌でも子供に勉強を教えなければいけない。

学生時代は数学を担当していたが、今、子供の数学の問題を解くと頭を捻る時がある。

今、子供は証明の問題に苦しんでいる。それは、心配だが、三角形の証明は得意なので夏休みみっちり教えてやろうと考えている。

英語はダメ。もう、忘れてしまった。来週、単語帳を買ってまた、勉強しようと思う。それは、子供の質問に答えるために。

encyclopediaとdictionaryの違いをこの前初めて、覚えていて良かったと思った。

古本屋で背取りをしていたら、後輩が、「international encyclopedia」と書かれた分厚い本を持ってきて、

「羽弦さん、これって何?」

と、聞くもんだから、タイトルを読んで、

「国際百科辞典だね。そんなの、売れないよ」

と、話した事がある。

百科辞典と辞書の違い。

だから、暗記も馬鹿には出来ないなと思ったりもした。

子供は今、中2だが、親が勉強しろ!と言っても反抗するお年頃。どこかで、ヤル気スイッチが入れば、若いからどんどん、教養を吸収する。僕だって、本気で勉強を始めたのは中2から学習塾に高校受験まで通って勉強するクセを付けて、ヤル気スイッチが入った。

今の子供のテストの点数を笑うが、自分もそうだった。

もちろん、高校に入ってから赤点も取った事あるし。

五教科だけが勉強じゃない。色んな仕事があれば、色んな資格もある。

僕だって、樹医だ。植物が好きで取った資格である。花のホルモン、樹木の特長、病気、害虫、農薬、肥料の計算。

色んな世界があるから、僕は病気してまた社会復帰しようとしているが、子供は好きな道を歩んでもらいたい。

だから、色んな道の基礎は学校でもしくは、自宅の机で学ぶ。

そして、学ぶ事は一生だ。いくつになっても、学ぶ姿勢でいないとダメだと思う。

高校時代の僕に言ってやりたい。

「ありがとう」と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る