第28話 大天使と特訓
「宮里さん!?」
ゆっくり降り立った宮里さん。なんでここに
「俺が呼んだのさ」
呼んだって……。呼べるんだ。
「感謝しなさい! 僕が見てあげるんだから!」
なにそれ……。でも実力は確かだし。
「こ、この人が! 大天使様!!」
美羽は宮里さんに近づき目を輝かせる!
「ウチ……いや! 私! 貴女様たちに助けられて今を生きてます! サインください!」
サインってそこまでいうのね……。
「本当に!? いくらでも書くよ! 全く僕も、モテモテだなぁ」
この二人意外と気が合いそう。
「はいはい。サインは後でまずは特訓を始めるぞ」
月城さんが手を叩き会話を止める。
「まず、この合宿で体内粒子の増量。そして『武器のプリズマ化だ』」
体内粒子は言わば体力。これは基礎トレとかで上がっていくと思うけど……。
「『武器のプリズマ化』ってなんですか?」
美羽は手を挙げて話す。そんなの聞いたことないや。
「おさらいしようか。まず体内粒子。これは体内にあるプリズマ粒子。武器に体内粒子を注ぐことで技となる」
私で例えると分身は体内粒子を使い、武器に注ぎ込むことで、『武器を持った偽物の私が生まれる』
「そして、体外粒子。空気中にあるプリズマ粒子に詠唱することによって武器に粒子が集まり大きな攻撃が可能となる」
これは詠唱。私のジャッジメント・キルだ。体外粒子を使用する際には唱えないと集まってくれない。
「体内粒子の増量は、体外粒子を取り込む際の器となる」
器が大きいほど、体外粒子はたくさん集まり、大きな技となる。
「そして、武器をプリズマ化だが、これを見てくれ。」
月城さんは手を目の前に出すと。
『ブワッ!』
『!!?!?』
四人全員が驚く。
「ぶ、武器が出てきた?」
武器を作ったの?すごい……。
「きみたちが持ってる武器がもし壊れたらどうする? 戦闘を続けられず、殺されてしまうかもしれない。そのためにも武器のプリズマ化は必ず習得してもらう。」
その言葉に美羽は俯く……。美羽は武器を無くしている。そりゃ落ち込むよね。
「の、野々原先生もできるんですか?」
氷華ちゃんは先生を見つめる。先生も武器持ってないや。
「うーん。私はちょっと特殊と言うか。……やってみせるね」
すると先生は私たちの後ろに立つ。
『グイィ!』
背中を向けてたはずの私たちだが、無理やり野々原先生の方を向かされる。
「これが私の力、武器は使えない。詠唱もできない。その代わり『眼を使って、強制的に相手を私の方へ振り向かせることができるわ』」
す、すごい。確かにその力は先生に向いてるよ。
「と、まぁこんな感じだ。」
月城さんは野々原先生の隣に立つ。
「さて、合宿初日は基礎の基礎!走り込みだ!」
説明が終わりついに合宿が始まる。
「ここの砂浜、奥にコーンがあるだろう? そこで折り返し! とりあえず十往復しようか」
距離も結構あるしいきなりきついな……でも!
『ハイ!』
四人は大きな返事をする。
「それでは、始め!」
月城さんの掛け声と同時に私たちは砂浜を走り出す。
「いきなりプリズマ化なんて無茶じゃないの?」
日陰にいた宮里さんは月城さんに話しかける。
「多少無茶してでも強くなってもらう。今後のためにも……」
真夏の空の下、四人は砂を蹴りながら走る。
「空! スピード遅くなってきてるんじゃない?」
美羽に指摘される。私体力に自信あったけど……。
「なっちゃん無理せずにね」
「ニエは甘やかしすぎ!」
この二人は本当に早い。着いていくのでやっとだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
氷華ちゃんは半周くらい遅れていた。私たちと歳も違うし、体力の差がまだあるから仕方ないよ。
「へへっ! いいこと考えた!」
宮里さんは突然歩き出し、走ってる私たちを見つめる。
「ほら! 避けてごらん!」
宮里さんの地面から氷の柱が生え、私たちに襲ってくる!
『バキバキバキバキ!』
「あぶな!」
走ってる時にこれも避けるの!?
「まぁいいか」
月城さんは少し呆れた様子で私たちを見守る。
「これが宮里様もお力! 素敵!」
美羽はなんだか興奮してる。そんな暇なく。
「ほら!次!」
『バキバキバキバキ!』
容赦なく地面から氷が生えてくる!
「きゃっ!」
氷華ちゃんは少し擦り傷を負う。
「大丈夫!? 氷華ちゃん!」
私は氷華ちゃんの元へ駆け寄る。
「……だ、大丈夫! わ、私も負けてられないから!」
氷華ちゃんは立ち上がり再び走り出す。その姿を見て私もその中を追っていった。
ーーーー
夕方。
一日のトレーニングが終わりストレッチをして合宿所へ帰る。
「それじゃ荷物を部屋置いたらご飯だからな!」
月城さん意外とハードな人だ。
「この状態でご飯作るの辛いなぁ……」
「だらしないわね! 空!」
美羽ちゃん元気だけど……。ちょっと無理してる感じする。
「なっちゃん荷物起きに行こうか」
「うん!」
私とにっちゃんは、部屋に荷物を置きに戻る。
『ガチャリ』
「・・・・・ふぇ?」
部屋を開けるとボサボサの灰色髪の少女がベットで気持ち良さそうに寝ていた。
「……って!だれぇええええ!?」
私たちの合宿はまだまだ始まったばっかりだ?
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