第22話 きみと

「いくよ! にっちゃん!」


 私とにっちゃんは、まだ共闘したことがない……。でも! にっちゃんとならいける!


「うん!」


 私の言葉に笑顔で頷くにっちゃん。ダメだ……私この人のこと……。


「二人だろうが、関係ないよ!」

 

 さっきと同じように猛烈な吹雪が舞う。


「なっちゃん! 行って!」


 その声と共に走り出す! 確かにまだ出会って日は浅いかもしれない……。でもきみとなら、大丈夫!


 吹雪の中、私は走る! 寒い! でもさっきよりも少し大丈夫な気がした。


「やぁあああ!」


『ガキーーン!!』


……っ!まただ! 突如目の前に現れた氷壁に私の刃は通らず、ひとまず距離を置く。


『バン! バン!』


 銃声が鳴り響く。目の前の氷壁に当たったようだが……。


「やっぱり……砕けないか!」


 私は気にせず再び宮里さん向かって走り出す。今度は私から!


「何回来ても変わらないよ!」


 瞬時に氷壁が現れる! 


(信じてるから!にっちゃんのことを!)


『バァアン!』


 走ってる私の頭上を不死鳥が通り過ぎる。


「いっけぇええ!!」


 にっちゃんの叫び声と共に不死鳥は氷壁にぶつかる!


『メキ……メキ……』


(これなら!)


 私は氷壁に向かって飛び込み、二つの刃で氷を切り刻む!


『パリーーン!』


「……っな!!」


氷壁が壊れたことに宮里さんは驚く。いける! 私は勢い止まらず、宮里さんに刃を振る!


「……っち!」


宮里さんが手を伸ばすと猛烈な吹雪が私を襲う!


「そ、そんな! この人!」


武器を持たずに! 魔法を出せるの!? 聞いたことない!


「だからなによ!」


 吹雪に見舞われてた私が消える。


「偽物か!」


 私は偽物を作り、宮里さんの背後を取る!


「勝った!」


『バキバキバキ!!』


 宮里さんに刃を振る瞬間! 目の前にたくさんの氷が生えてくる!


「ど、どこから!」


 私は宮里さんを空中でじっと見つめる。


「あ、足が凍ってる!?」


 この人足からも魔法を出せるの!?


「あんまり、甘くみたらダメだぞ!」


バキバキと氷が地面から生えてくる! まずい!逃げれ……。


『バン! バン! バン! 』


 私の周りを襲うとした氷が壊れ、なんとか地面に着地する。


「ありがとう! にっちゃん!」


 私はにっちゃんをみずに喋る。


「大丈夫! 貴女は私が守るから!」


 その言葉に思わずニヤける。


「今度は仕留める!」


 地面に生えている氷を壊しながら、私は徐々に宮里さんに近づいていく。


「そこだぁあ!」


 氷を壊し、再び真ん中にいた宮里さんを捉える!


「……楽しいね!」


 私の刃を避けると、宮里さんは氷の上に乗り、勢いをつけると。


「いくよ! 絶対零度!」


 右手に吹雪を集中させて、私に突進してくる!


『バキーーン!』


 拳と剣がぶつかり合う音。


『パキパキ……』


「……な!?」


 剣が徐々に凍り始めてきた。


(逃げなきゃ!)


 私は後ろへ下がり態勢を整え要するも。


「逃さないよ!」


 宮里さんは手を開き、溜め込んでいた吹雪を私に向けて放つ! 寒い……!


(こ、このままじゃ!)


「なっちゃん!!」


『バン! バン! バン!』


「……麻痺弾か」


 宮里さんに命中した麻痺弾。完全に止まってないけど、ありがとう! にっちゃん!


「やぁあああ!!」


 吹雪が止み私は勢いをつけて、宮里さんに今度こそ刃を振る!


「だから! 無駄だって!!」


 再び地面から氷が生えてくる! 動かなくても魔法が出せるのか……!


『バン! バン! バン!』


 私を襲おうとしていた氷が砕ける! ありがとう! これで態勢崩さずにいける!


「プリズマよ! 私に! 罪のご加護を!」


 体外のプリズマを瞬時に集める!


「させない!」


 宮里さんは手を横に振ると、空中から氷の粒が出てくる。


『ビュン!』


 放たれた氷の粒は私に向かってくる!



ーーーー私ならね!



 氷の粒が私に当たり、残像が消える!


「後ろか!」


 宮里さんが後ろを向いた瞬間!


「ジャッジメント! キル!」


ほぼゼロ距離で光の刃を放つ!


『ドコォオオオン!』


爆風で私は吹っ飛ばされるも。


「なっちゃん! 大丈夫!?」


にっちゃんに支えてもらう。


「ありがとう! それより……。」


 煙で見えない…。感触はあった! かて……た。


「そ、そんな。」


 煙が晴ると、そこには無傷の宮里さんが居た。


「いいコンビじゃない」


 ジャッジメント・キルをゼロ距離で喰らってむ、無傷!?


「その程度の力で僕に傷がつくと思ってたの?」


 くすくすと宮里さんが笑う。さっきまでは……本当ににされていただけ?


 まぁでもそのコンビ力はちょっとイラっとしたから……!


『ブワァア!』


 熱い! 熱すぎる! でもありえない! その力は!


「『炎』はこの世界で使えない! それが、魔法科学者が導いた結果なのに!?」


「なっちゃん! 離れよう! まずい!」


 私を担ぎ、にっちゃんは少し離れようとする。


「……咲……私に力を貸して!」



 さらに燃え上がる炎! ……そうだ! 氷菓ちゃんを助けなきゃ!


ほう……」


 私は、にっちゃんに担がれていたのを解き、凍ったままの氷菓ちゃんへと向かう!


「なっちゃん!」

 

 私を追いかけるにっちゃん。その二人を狙うは……。


 「れっ………!」


『ビュン!!』


 その時、私たちと宮里さんの間に一本の槍が刺さる。


「そこまでだ! 雪!」


「ちぇ。終わりか。」


 炎が落ち着き、消え始める。


「邪魔しないでよ! 風馬」


 ゆっくりと薄い黒髪色をした男性が歩いてきた。

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