第9話 若者と死 Le Jeune Homme et La Mort

バレエ『若者と死』

Le Jeune Homme et La Mort


曲:ヨハン・セバスチャン・バッハ

振付:ローラン・プティ

初演:シャンゼリゼ劇場 一九四六年


登場人物

若者

女性


(物語)

パリ。貧しげな屋根裏部屋で、若者は女性を待っています。

芸術を志す若者の部屋は画材と絵画が飾ってあり、生活感のない空間。

なかなかやってこない女性。

煙草を吸い……床に捨てた煙草を足でもみ消す。

腕時計を見る……若者の心情を描写しているように思います。

いらだちながら待っている若者。

そこへ黄色いドレスを着た女性がゆっくり入ってきます。

若者は女性を抱きしめようとしますが女性は冷たく拒みます。

若者と女性は争いになります。女性は煙草の煙を若者に吹きかけ笑います。

そして若者と女性の争いはさらに続きます。

訴えかけてくる若者を女性は蹴り飛ばします。

ゆっくりと倒れてゆく若者。

(※ここは女性に蹴り飛ばされたあと、若者が転げて倒立するような形からゆっくり時間をかけて倒れていくところがスローモーションになっているような表現が見せ場ですね。)

争い疲れた若者はうなだれるようにうつむき椅子にすわっています。

女性は柱に絞首縄を準備します。

女性は椅子にうなだれている若者の頭を後ろからゆっくり起こし絞首縄を指さし部屋を飛び出していきます。

残された若者は椅子を投げ飛ばし狂ったように部屋の中でもがき彷徨います。

やがて若者は絞首の縄を凝視します。

そしてゆっくりすい寄せられるように縄のところに行き自ら首を吊って死んでしまいます。

若者の部屋の壁が取り去られるとエッフェル塔が見えるパリの夜景が広がります。

白いドレス、赤いマントに髑髏の仮面をつけた死神が現れます。

死神が髑髏の仮面を外すと若者と争った女性で、女性は若者の顔に髑髏の仮面をつけます。

そして女性が遠くを指さし二人は舞台を去っていきます。



~~~~~~

「若者と死」という作品

~~~~~~

これはまさにタイトルをそのまま表現した芸術です。

全編通してバッハの「パッサカリアとフーガ」の荘厳な曲で演じられます。

映画「ホワイトナイツ」(一九八五年)の冒頭のバリシニコフの踊りが有名ですね。


このバレエは最高レベルの技術を持つ男性バレエダンサーが踊る作品です。個人的にはやはりバリシニコフ先生の「若者と死」が好きです。動画を探していてルドルフ・ヌレエフとジジ・ジャンメールの「若者と死」があるのを見て驚きました。

もともとこの作品は振付のローラン・プティが女性役にジジ・ジャンメールを起用しようとして作った作品のようですから……結局、意向とは異なり初演は別の方がおどったようですが……


私個人的には

映画「ホワイトナイツ」(一九八五年)の冒頭のバリシニコフの踊り

が一番好きです。

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