第10話 くるみ割り人形 The Nutcracker
バレエ『くるみ割り人形』
The Nutcracker
曲:P.チャイコフスキー
振付:L.イワノフ
初演:マリンスキー劇場 一八九二年
登場人物
クララ
ドロッセルマイヤー
フリッツ(クララの兄)
ネズミの王様
金平糖の精(お菓子の国の王女)
王子(くるみ割り人形)
(物語)
プロローグ
今年のクリスマスはどんなプレゼントを子供たちにあげようか……
ドロッセルマイヤーは子供たちにあげるプレゼントを準備しています。
ふと部屋にあった「くるみ割り人形」を手にします。
「そうだこの人形……子供たちの中に、この人形を気に入ってくれる子供がいたら……」
ドロッセルマイヤーは他のプレゼントと一緒に「くるみ割り人形」をだいじに袋に入れます。
第一幕 第一場
シュタールバウム家(クリスマス・イヴのパーティー)
クリスマス・イヴの夜。
シュタールバウム家では、大広間にたくさんの客人たちを招いてパーティーが催されています。
大広間にはきれいに飾り付けられたクリスマスツリーがあります。
客人の中にはシュタールバウム家にゆかりがあるドロッセルマイヤーおじさんも呼ばれています。ドロッセルマイヤーおじさんはシュタールバウム家のフリッツとクララの名付け親でもあります。
客人たちの子供たちもたくさん来ています。子供たちはドロッセルマイヤーおじさんの周りに集まっています。ドロッセルマイヤーおじさんは手品を見せたり、人形劇を見せてくれます。ハレルキンとコロンビーヌの踊り、ムーア人の踊り。
そして、子供たちにクリスマスプレゼントを渡し始めます。子供たちはドロッセルマイヤーおじさんの前に並び順番にプレゼントをもらっていきます。どの子もプレゼントに大喜びです。
最後にクララの番です。クララがもらったプレゼントは「くるみ割り人形」。少し変わった人形ですがクララは気に入り、とても喜びました。
その人形を見た兄のフリッツはクララをからかいます。クララから人形を取り上げ、他の子たちと人形を笑います。クララは人形を取り戻そうと一生懸命です。フリッツから取り戻そうとしたとき勢いあまり人形を壊してしまいます。
悲しむクララにドロッセルマイヤーおじさんは人形を修理してあげようといいます。
時間も遅くなり客人たちはそれぞれ家路につきます。
クララも自分の部屋に戻るのですが、人形のことが気になります。
そして、一人でパーティー会場だった大広間に行きます。
その時、時計が十二時の鐘をならします。するとクララの体が小さくなっていきます。(舞台ではクリスマスツリーが大きくなっていく演出でクララの身体が小さくなることを表現することが多いです)
そこへネズミの大群が押し寄せてきます。クララが恐れ逃げようとしたとき、「くるみ割り人形」が指揮をとりおもちゃの兵隊たちとネズミたちの一騎打ちになります。くるみ割り人形が危機一髪というときにクララが投げたスリッパに気を取られたネズミの王様。一瞬で形勢は逆転し、「くるみ割り人形」はネズミの王様をやっつけます。
魔法が解けた「くるみ割り人形」は王子の姿に戻ります。
王子はお礼にクララをお菓子の国へ連れて行ってくれます。
第一幕 第二場
雪の舞う森
お菓子の国に向かうクララと王子。
雪の舞う森を抜けていきます。
第二幕
お菓子の国
お菓子の国に着いたクララと王子は、お菓子の国の王女である金平糖の精に迎えられます。
クララはお菓子の精たちの踊りで歓迎されます。
チョコレート(スペインの踊り)。コーヒー(アラビアの踊り)。お茶(中国の踊り)。トレパック(ロシアの踊り)。あし笛(フランスの踊り)。キャンディボンボン(ジゴーニュおばさんとキャンディ)。花のワルツ(デコレーションケーキ)。
そして、王子と金平糖の精のグラン・パ・ド・ドゥ。
お菓子の国で夢のような楽しい時間が過ぎます。
エピローグ
気が付けばクララは家の大広間。
元通りになった「くるみ割り人形」をだいじに抱いて、朝日の中で目覚めます。
~~~~~~
「くるみ割り人形」というバレエ
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バレエ「くるみ割り人形」はバレエの中で、もっとも有名な作品だと思います。
バレエを見たことのない方でも、あらゆる作品の中で一番親しみやすい作品ではないかと思います。
なぜなら、
物語の内容がわかりやすい作品です。
また、おそらくすべてのバレエ作品の中で、誰もが聞いたことのある曲が一番多い作品です。
そして、この作品は物語の設定がクリスマスですので十二月頃どこかで公演されています。
~物語について~
実際はこの作品にも原作があり、物語全体の解釈や表現の仕方でいろいろな演出があります。
ここで原作というのはバレエ「眠れる森の美女」やバレエ「ロミオとジュリエット」に原作がある……というのとは少し違います。
「眠れる森の美女」や「ロミオとジュリエット」は原作は誰もが知っている有名な文学作品で、それを比較的忠実にバレエ作品にしたものです。
「くるみ割り人形」の場合、原作はあるのですが、そこから話を発展させて、さらにその先の話を、このバレエの作品にしたような感じです。
元の作品は、王子はなぜ魔法で「くるみ割り人形」にされたのか、王子とネズミの王様の関係は? そして、なぜドロッセルマイヤーさんは「くるみ割り人形」を持っていたのか……
その辺の話が原作で、その続きが、このバレエ作品の始まりにつながっていくような感じですね。
(こう書くと想像の着く方もいらっしゃるかもしれませんが、元の作品は「美女と野獣」に似たストーリーだったようです。ドロッセルマイヤーさんのご先祖さまが、お城で働いていた職人で王子をお守りしていた……そして、引き継がれ、醜い姿でも愛してくれる人を待っていた……みたいな物語……そして、この作品の本編につながっていく……)
バレエをあまり見たことのない方でも、もし興味を持たれた方や、あるいはお子様がバレエを習い始めた……などのきっかけでプロのバレエ団のバレエを見るきっかけがあったら、「くるみ割り人形」はお勧めです。
この作品については、いろいろな方がいろいろな演出をされる中で時代を超えていろいろな踊りや踊り以外のエピソードも結構感動的なお話が語り継がれています。
事実なのか、創作か、演出か、今となってはわからない部分もありますが、先に書いた「この作品の元ネタの作品」からの話……のように、あらゆるエピソードが、この作品を感動的に見て頂くために語り継がれているようにも思えます。
それだけ、あらゆる作品の中で、国境を越え、時代を超え、愛されている作品と言えると思います。
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