第2話 眠れる森の美女 The Sleeping Beauty
バレエ『眠れる森の美女』
The Sleeping Beauty
曲:P.チャイコフスキー
振付:M.プティパ
初演:マリインスキー劇場 一八九〇年
登場人物
オーロラ姫
デジレ王子
カラボス(悪魔・魔女・妖精?)
リラの精(いいお告げをくれる)
(物語)
プロローグ
時は一七世紀、お城ではフロレスタン一四世に娘が誕生します。
第一幕
盛大な式典が催されています。式典には六人の妖精たちが招かれています。妖精たちはそれぞれ娘に「優しさ」「元気」「寛容さ」「美声」「勇気」(美の精・優雅さの精・食の精(食べ物に困らないように)・感情を誘う精・健康の精)最後に六人目の妖精リラの精が贈り物を授けようとしたときです。
式典に招かれてなかった妖精カラボスが怒りを露わにしてやってきます。カラボスは式典に招かれなかったことを怒り。
「姫は一六歳の誕生日に指を刺されて命を落とすだろう」
と呪いをかけます。式典は恐怖に包まれ王は悲しみにくれます。
そのとき、まだ、贈り物を授けていなかったリラの精が言います。
「姫は死にません。百年間の眠りにつくのです。百年後、王子が現れ姫に口づけをしたとき魔法が解け眠りから目覚める」とお告げを送ります。
第二幕・第一場
オーロラ姫は成長し一六歳の誕生日。
オーロラ姫の誕生日を祝いに来た四人の王子は姫にプロポーズをします。
(四人の王子がバラの花を渡しながらオーロラ姫と踊る踊りは「ローズアダージオ」とよばれ有名な踊りです)
そんな中、どこからか現れた老婆がオーロラ姫に糸車を渡します。喜んだオーロラ姫は糸車を持って踊るのですが、糸車の針に指を刺されて倒れてしまいます。
糸車を渡した老婆は頭巾を脱ぎ捨ててカラボスの正体をあらわし、そこに居合わせた人々を嘲笑い去っていきます。
そこへ、リラの精があらわれ、「姫は死んだのではなく、眠りについたのだ」と言い、城全体に魔法をかけます。お城にいた人々は皆眠りにつき、大地から木々が萌え立ち城を包みこみます。姫が目覚めるときまで、城全体が眠りについたのです。
第二幕・第二場
オーロラ姫が眠りについてから百年後。
デジレ王子は友人たちと森で狩りをしていました。
デジレ王子がひとりになったところへ、リラの精が現れます。
リラの精は王子にオーロラ姫の幻を見せます。
オーロラ姫の美しさの虜になった王子は、リラの精から彼女を魔法から解き放つすべを聞きます。
王子はリラの精に案内され、木々に閉ざされた城の中で眠っているオーロラ姫を見つけます。
王子がオーロラ姫にキスをすると魔法が解け、百年の眠りからオーロラ姫が目覚め、城中が目覚めます。
眠りから覚めたオーロラ姫にデジレ王子はプロポーズします。
第三幕
お城ではオーロラ姫とデジレ王子の結婚式の宴が催されます。
たくさんの人が招かれます。リラの精を含む六人の妖精たち、そして宝石の妖精(金の精、銀の精、サファイアの精、ダイアモンドの精)「長靴をはいた猫と白猫」「赤ずきんと狼」「シンデレラとフォーチュン王子」「青い鳥とフロリナ姫」……
童話の主人公たちが結婚式を祝いにやってきます。
(私の知り合いの方が、これは結婚式に招かれた人々が「童話のキャラクター」に仮装して宴を盛り上げているんだよ……と言いましたが……まあ、もともとメインの物語が童話なんで、やってくる「赤ずきん」や「狼」「シンデレラ」も童話のキャラクターがやってきたという設定でも、それほど無理のある話じゃないように思います。)
そして、いよいよ、オーロラ姫とデジレ王子のグラン・パ・ド・ドゥが始まります。
たくさんの人に祝福されながら……
舞台は幕が閉じるのです。
~~~~~~
踊りや作品について
これこそプリマとプリンシパル、お姫様と王子様の踊り。
本当に難しい踊りだね。
デジレのヴァリエーションが難しいんだよ。
見た目以上に、踊りはかなりダイナミックな動きなのに、大きい動き、テクニックの後に、いちいちきちんと止まって「大したことはございません」みたいな感じに余裕をもって踊らないといけないから……
百十六歳のオーロラ姫の踊りも表現力とテクニックの踊りですね。
技術的な難しさもそうですが、この踊り、プリマの踊りでありながらコンクールや発表会などでも、とにかく踊る人が多い踊り……知ってる人が多い踊りだけに「どう踊る?」という目で見られてる感じ。
コンコールなどでは、
一七番眠れる森の美女よりオーロラのヴァリエーション
一八番眠れる森の美女よりオーロラのヴァリエーション
一九番眠れる森の美女よりオーロラのヴァリエーション
二〇番コッペリアよりスワニルダヴァリエーション
二一番眠れる森の美女よりオーロラのヴァリエーション
みたいな、一曲が結構長いこのヴァリエーションが三人ぐらい続いた後、別の踊りが一曲あって、また、この踊りが三人くらい続いたりする。
「眠れる森の美女」の壮大なストーリー。物語自体も有名な作品。
バレエをあまり見たことのない方にも、「眠れる森の美女」と「くるみ割り人形」はお勧めです。
エンターテイメント性もあり楽しめる作品だと思います。
比べて「ジゼル」「ドン・キホーテ」「コッペリア」などはバレエならではの独特の中世ヨーロッパ観が、もう少し強い感じがありますね。
もちろん「眠り」も中世ヨーロッパなのでしょうが、もう少し「物語的な要素」の方が前に出ている感じ。
※バレエでは男性、女性のソロの踊りのことをヴァリエーション(ヴァリアシオン)といいます。
ソリスト(主役級になる前のダンサー)の男性と女性が二人で踊る踊りをパ・ド・ドゥ。
主役のプリマとプリンシパルが踊る踊りをグラン・パ・ド・ドゥといいます。
パ・ド・ドゥはアントレ、アダージオ、男性ヴァリエーション、女性ヴァリエーション、コーダで構成されます。(時代の古いバレエはこの構成を取らないものもあります)
アントレ、アダージオ・アントレは二人で舞台に登場する華やかな曲。アダージオはゆっくりした曲で男性が女性をサポートしたりリフト(持ち上げる)したりしながら踊ります。
ヴァリエーションはそれぞれのソロの踊り。
コーダは男性と女性がそれぞれ順番に技術を披露する感じです。女性はここで三十二回転のグラン・フェッテがあったりします。
また、ノーブル系(主役が王子様、お姫様「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」など)とキャラクター系(主役が町の若者や海賊など「ドン・キホーテ」「海賊」「コッペリア」など)があります。微妙なものもあります。「ロミオとジュリエット」は金持ちかもしれないが、あれは二人とも一般人。「ジゼル」は村娘ですがお姫様より純粋で気高い(個人的主観)。
私は別のところでバレエのストーリーを書いていたことがあるのですが、きっかけは、知り合いのバレエダンサーの人と話をしていて、私の周りの人が意外と「ロミオとジュリエット」をアバウトにしか知らなかったことからです。
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