帰る時が一番楽しい時間
「おい樹!帰ろうぜ!」
「まぁいいが、部活とかはないのか?」
「あったら誘ってねぇよ!」
それはそうだな。
「いやだけどよ?お前いつも一緒に帰ってるやつらはどうしたんだ?」
「察しろよ!」
「誰がお前のことを察さないといけないんだ!」
「ひどいっ!」
まぁ多分、俺と久しぶりに会ったから一緒に帰りたいと思った的な感じだろ。
こいつは案外友達を大事にするタイプだからな...
「ってことで帰ろうぜ!」
「どういうことでだよ!?」
「そんなことは気にするんじゃねぇ!」
「それはそうかもしれないけど...」
「まぁ俺もお前が入院してる間は暇だったんだぜ?」
「しゃあねぇ、今日くらいは一緒に帰ってやるよ!」
「もうっ、素直じゃないんだから~」
(バチンッ)
「なんでっ!」
「お前はもうちょい自分のやってることを冷静に振り返ってみろ!」
ほんとにこのイケメンはこの気持ち悪いところを直せば、モテると思うんだけどな...
まぁそれでも告白されてるらしいが、全部断っているらしい、こいつはイケメンという要素をすべて無駄にしてるよな...
そのイケメン要素を俺に分けやがれ!
「ほら勇也、帰るから準備済ませろ!」
「もう終わってるから帰れるぞ!」
俺と勇也は教室を去った...
「なんか騒がしいな...」
「そりゃ新入生も来て、騒ぐことくらいあるんじゃねぇの?」
「昨日とかはこんなに騒いでなかったぞ?」
「じゃ、何か原因があるんじゃねぇの?」
「そうじゃねぇと、ここまでうるさくなることはないだろうな...」
「まっ、別に関係ないことだろ!」
「それもそうだな...」
そこで校門を通ろうとした時、背中に何か.がぶつかる感触があった。
大体その正体はわかっていた...
「彩葉?」
「はい!先輩が愛する、彩葉ちゃんですよ!」
「勝手に愛してることにしないでもらっていいかな!?」
「それくらい良くないですか?」
「まぁいいけど...」
「それに先輩が来るまで待ってあげてたんです!それのご褒美で愛してもらうってことで...」
「無理があるくない!?」
「周りに騒がれて大変だったんで、それくらいのことはしてもらわないと!」
さっきの騒ぎは彩葉が原因だったのか...
そうして彩葉と話していると、横にいた、勇也がニヤニヤしてこっちを見てきた...
「お二人はすごく仲がよろしいようで?」
「あれ?この前の勇也先輩?でしたっけ?あの時は色々教えてもらって...」
「それ以上はダメ!俺が樹に殺される!」
「勇也?まだ隠してることがあるのか!?」
「いや...何もないよ!」
「ほんとか?彩葉から何か情報は?」
「先輩がご褒美か何かをくれるなら教えますよ?」
ん~思いつかないし、別にそこまでしてその情報がいるかって言われたらいらないんだよな...
「まぁ別に俺もそこまで鬼じゃないからこの辺にしておくが、次に何か言ったらどうなっても知らんからな?」
「すみませんでした、樹様!」
「よろしい!」
こんな馬鹿な会話を続けてる時が1番楽しいまである。
「それより彩葉はなんでずっと待ってたんだ?」
「そりゃ先輩と会いたかったからですよ?」
おふっ!
そんなこと言われると口角が上がってまう!
「そっか...じゃあ彩葉も一緒に帰る?」
あくまで冷静にそう返す、下手に動揺したらまた揶揄われてしまうからな!
「勿論です!ってか帰りに人を待ってそのまま一緒に帰んないってことが、あってはいけないんです!」
「それもそうだな...」
それこそ何のために待ってたんだって話だ...
「彩葉ちゃんも樹と一緒に帰るの?」
「はい!ご一緒させていただきます!」
「それなら...俺は1人で帰るよ!」
「は!?」
「いやいや、俺ももう空気くらいは察せるよ!」
「そんな!大丈夫ですよ?それに勇也先輩だって、樹先輩と久しぶりに会って、一緒に帰りたいとか思ってるんじゃないんですか?」
そうだそうだ!それにお前から誘って来たんだろうが!
「別に良いだろ!彩葉ちゃんだって樹と2人きりで帰れた方が嬉しいでしょ?」
「それは...まぁそうですね...」
認めるな彩葉!
「なら俺は樹の親友としても、1人で帰るのが正解なんだ!」
そういい勇也は走り去って行った...
俺は追いかけようとしたが、速すぎて追えなかった...
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