帰るときっていつ話を止めるか迷うよね

「速すぎ、バケモンじゃねぇか!」

「どういう生活すればあそこまで速くなれるんですか?」

「知ってるわけねぇだろ、サッカー部に入れば速くなるんじゃねぇのか?」

「いや無理じゃないですか!?」


人間の限界を超えているような速度だった...


「結局二人になっちゃいましたね!」

「勇也はその場の気分ですることを決めてるからな...」


アイツは自由すぎるんだよな...


「それでも私は先輩と二人きりに慣れてうれしいですけど、先輩も勇也先輩と一緒に居たいと思いますし...」

「そういう気持ちもなくもないが、勇也はいつでも話せるから別にいいよ」

「そんな会う機会があるんですか?」

「ってより俺が起きてて暇そうなときは、大体通話かけてきやがる」

「へぇ~そうなんですね...」


そういった話をしてると、彩葉がほっぺを膨らまして、こっちを見てきた。


「えっと...どうしたんだ?彩葉?」

「いや私も先輩と通話したいなって!」

「そんなことで拗ねんなって...」

「拗ねてないです!でも...通話はしたいです!」

「それは...気が向いたらするよ...」


彩葉のお願いを断れねぇよ!

自分の意志の弱さが出てるな...


「あっ!家にもう着いちまったか...」

「ってことでお邪魔します!」

「いやいや!ダメだよ?何そんな当たり前みたいな感じで入ろうとするんだよ!」

「むぅ...さりげなくなら、入れると思ったんですけど...」

「どんだけ馬鹿だと思ってる!?俺のこと!」

「別に先輩のことを馬鹿だとは思っていません!ただ...どんだけ小さいチャンスでも挑むのが大事なんですよ!」

「そういうことしなければ、ワンチャン家に入れたかもだけどね...」

「すみません、今あったことは忘れてください!」


どんだけ入りたいんだよ!


「今日は無理だよ、デートプランを考えないといけないし...」

「むぅ~デートプランは考えてほしいですし...」

「すまんな!今度また機会があったらいいよ」

「言いましたね!約束ですからね!」

「いいよ、ただ今日のところは早く帰れよ?暗くなると危ないし...」

「子供じゃないんで大丈夫ですよ!でも、心配してくれるのはうれしいです!」


そう喋った彩葉は綺麗な笑顔でこっちを見てきた、俺はその姿に少しだけ見惚れていた。


「先輩?どうかしました?」

「いや...何も」

「それ絶対なんかあるやつですよね!?」


見惚れてたなんか言えるかよ...

絶対にからかわれるし、まずまずとして恥ずかしくて絶対に言いたくねぇ!


「ほら帰った帰った!ここにずっといても何の変化もねぇよ!」

「いや?先輩と話せるじゃないですか?」

「え?」

「今の私にとって、先輩と話してる時間が一番楽しいですよ!」

「そんなとんちが利いたこと言ってねぇで、帰れって...」

「先輩はそんなに私といるのが嫌ですか?」


涙目ながらそう訴えてきた。


「そんなことはないけど...」

「それじゃあもう少し一緒に居ましょう!」


その断れない方法で攻めてくるのはやめない?流石に不可避の言葉だよ?


「でも今日こんだけ一緒に居るなら、明日のデートはそこまで長くなくてもいいかもなぁ...もはや2,3時間で終わるくらいの...」

「っ!それはダメです!」

「だったら今日はここまで位にしないとね?俺もやるべき事があるし...」


主にデートプランを考えなければいけないからだけど...


「ずるいです先輩!そんな方法使われたら帰らざる負えないじゃないですか!」

「そっちこそずるいだろ?」

「じゃあ私たちは似たもの同士ってことですね?」

「発展しすぎだ、誰だって人間である以上ずるいことはするんだよ」

「そういうものですか...」

「そういうものだ!」


彩葉は帰る準備を澄ませ、少しだけこっちに近づいて、言葉を発した。


「先輩!また明日会いましょう!」

「それ言うためだけにそんな近づくことあるか?」

「先輩に近づきたかったってのもあります!」

「そうか...」

「それはもうちょい近づいてもいいという合図ですか?」

「ちゃうわ!まぁそれでも少しくらいならいいけど...」

「先輩ツンデレですか?」

「俺のツンデレのどこに需要があるのか教えてほしいわ!」

「私が喜びます!」


絶対嘘だろ!それで万が一俺がやった時、絶対に冷たい顔で見るやつやん!


「クンクン...」

「あのー何してるんですか?彩葉さん!?」

「先輩の匂いを嗅いでます!」

「やめろって...汗かいてるから良い匂いでは無いだろうし...」

「先輩の匂いがします!」

「どんな匂いだよ!」

「私が安心する匂いです!」

「ほらほら、そんなことしてないで帰れ帰れ、恥ずかしいから...」

「私も自分でやってて恥ずかしくなってきたので、もう離れましょうか...」


そういって、だんだん彩葉は離れてった...


「それじゃあ明日は楽しみにしてますね!」

「帰り道事故に巻き込まれるなよ?」

「そうなったら先輩とデート行けないので気を付けときます!」


彩葉はさらに離れて道路に出た。


「ちゃんとプラン考えといてくださいよ?」

「おう!任せとけ!」

「それでよしです!」


そんなこんなで彩葉との帰り道は終わった...

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