シリアス展開の後には大抵何かある

俺はたった今、真っ赤に染まっていた。

それはなぜかというと...


「先輩!私の言葉が泣くほど嬉しかったんですかぁ~?」

「もう、触れないでくれ...」

「でも先輩の泣き顔も可愛かったですよ?」

「それを言われても嬉しくねぇよ!」


さっき彩葉の言葉で泣いたことを揶揄われていた...


「私は嬉しかったですよ?先輩が私のことで泣いてくれて、私の言葉で喜んでくれて!」

「それは、そうかもしれないけど...」


それにまだ彩葉に密着されていて恥ずかしいのもある。

俺は早くこの状況を切り抜けるために、チャイムが早くなることを祈ることにした...


「まぁ先輩がこのままだと何も話せないので、揶揄うのを止めてあげますけど...」

「ふぅ助かった...」

「ちょっとだけ先輩にお願いもありますし...」

「ん?なんかあるのか?」

「今日の朝、先輩言ったじゃないですか、明日まぁ土曜日、一緒に出かけようって」


あぁ〜その件か。


「そうだな、今日の朝、俺は確かに言ったが...それがどうかしたのか?」

「先輩にプランとか決めて欲しいんです!」

「え!?」

「私は先輩にエスコートされたいんです!どんなとこでも良いですよ!高級レストランとかでも構いません!代金は私が出すので!」

「後輩の、しかも女子に奢られるのはなんかプライドが傷つく気がする...」

「気にしないでください!それでチャンスを逃すのは嫌なので...」


まぁムードや場所ってのは大事だ、それだけで印象が変わってくるからな。


「それでも奢られたくは無いな...それにまだあって数日な仲だし...」

「2人でお出かけ...いやデートに行くような仲なのに?」

「言いなおすな、恥ずかしくなる...」

「それだけで照れちゃう先輩はピュアですね!」

「うるせぇ、そんなことしたこともないんだよ...」

「私が先輩の初めて、ってことですね?」

「いやらしい風に言うなよ?」

「そっちの方が先輩喜ぶかなって...」


どんどん俺のイメージが変になってる気がする...


「まぁふざけるのはここらへんにしといて、デートの予定!立てといて下さいよ?」

「やるしかないか...」

「ありがとうございます!」


彩葉は満面の笑みでそう言った...

この笑顔を見るために彩葉のお願いを叶えていると言っても、過言ではないかもしれない。


(キーンコーンカーンコーン)


「あっ!チャイムだ...」

「それじゃ集合場所とか決まったら私に連絡してください!」

「分かった、今日の夜には連絡を入れるよ」

「わかりました!それまでずっと画面に張り付いときます!」


そういって彩葉は去っていった...


「はぁ...やるとは言ったものの、どうしようか...」


当日行きたい店などを少し調べつつも、教室に戻ることにした...


「おい!樹!何があったのか聞かせろ!」

「なんで勇也はそんなテンション高いんだ?」

「誤魔化すんじゃねぇ!女子と二人きりで昼飯を食べて、なんも起こらないわけないだろ!」


俺はちょっとだけ思い返す...


「色々、あったな...」

「お!何があったんだ!?」


この短時間の中で本当にいろんなことがあった。

あーんだったり、抱きつかれたり、揶揄われたり...

いや、全部喋れるようなことじゃねぇな!


「いや思い返したら特に何もなかったわ!」

「無理があるだろ!きっと話せないような激しいことを...」

「それこそ無理がある、ただの捏造じゃねぇか!」


まぁバレなければ問題はない!


「くそっ!どうにか情報が掴めたら...」

「なんでそんなに拘るんだよ、そんなことに!」

「いやー親友の恋愛事情は気になるだろ?」

「だから何回も言ってるがそう言う仲じゃない!」

「そう言う仲じゃない奴が2人きりで昼食を食べるわけねぇだろ!それに彩葉ちゃんは樹には優しそうだったし...」


毎日あんなことをしてたら、いつか絶対誰かにバレる気がする、彩葉と相談して解決策を探すか...


「まぁ残念だったな、そう言うことはかけらもないから安心しろ!」

「いやこれはなんかあるな?」


なんでこう言う時だけ鋭いんだこいつ!


「そんなこと言ってないで、早く席つかないと遅刻取られんぞ?」

「また後で話そう、絶対にボロが出るはずだ!」


探偵気取りな勇也は、しっかりと席に戻って行った。


「今日は終わった瞬間に早く教室を出ることにしよう!」


流石にずっとそんなことを聞かれ続けるのは嫌だし、ストレスも溜まるし、で良いことがないからな!

彩葉にも直接教室来るのは止めろって言おうかな?


「まぁそれは今度言えば良いか...」


それは明日のデート、いやお出かけで少しだけ喋るか...


「それだったら少し喋りやすい、個室の店とかを選ぶか...」


彩葉に嫌な思いもさせたくないため、しっかりとした店を選ぶことを意識することにしよう!


「なんだかんだ言ったが、楽しみになってきたな!」


先生も入ってきて、授業が始まったが、どういう場所に行こうか考えていたら授業に集中できず怒られてしまったため、帰ってから考えることにした...

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