彩葉の色々な面

「滅茶苦茶見られてないか?」

「こう言うのは気にしなくていいんですよ!それに勝手な人達のせいで先輩との時間を奪われたくないですし...」


そう言うとこがあざとい!

ちょっと小声で俺にだけ聞こえるくらいで言ってくるのが特に!


「それもそうだな...」

「そうです!なので堂々と付き合ってるアピールを...」

「付き合ってないから!」

「そこは乗せられとければ良いんですよ!」

「強引だな...」

「まずは逃げられないように囲って、先輩を捕まえるんです!」

「んー怖いこと言ってくるね!」

「嘘ですよ!私は正々堂々先輩を落とします!」


どんどん積極的になってない?この子!


「それじゃこの辺で解散しよっか、また昼どこ行けば良いか連絡して?」


下駄箱は学年ごとに結構離れているため早めに解散することを提案した。


「ん〜まだ先輩といたいです!」

「だめだ!また後で会えるだろ?」

「それはそうですけど...」

「そんなに嫌そうにするならー...土曜日、まぁ明日どっか一緒に行ってあげるからここで解散しよう...」

「本当ですか!?わかりました!約束は破らないで下さいよ!」

「わかってるよ」


そしたら彩葉はルンルンで自分の学年の下駄箱へと向かっていった...


「ん〜もうちょいあざといのに耐性を持たないとな...」


そう言って俺は自分のクラスへと向かう。


「よっ!樹、会うのは久しぶりだな!」


そんな時にチャラ男...じゃなかった、勇也が抱きついてきた。


「そう言いながら抱きつくのはやめろ!気持ち悪い!」

「そんなこと言わないでくれよ!」

「てかよ、俺今思い出したんだ!」

「何を?」

「お前を殴んないといけないこと!」


俺は軽く1発入れた。


そこまで痛いのを入れたわけではないが少しくらいは痛がっていた...


「急に何するんだ!?」

「女子に人のタイプを教えた、ゴミ野郎がここにいるらしいんだよね!」

「いやーそれは然るべき刑罰を受けるべきやな!」

「お前もそう思うかー...もう1発欲しい?」

「申し訳ございませんでした!」

「よろしい!」


こいつは謝るまで全力で抵抗するのが、更に罰を重くしてる。

無抵抗ならもうちょっと優しくした可能性はあるよね。

まぁ弁明する前に殴ったけど。


「それで?彩葉ちゃんとは?」

「は?何が言いたいんだ?」

「いやー仲良くなって一緒にデートみたいな?」

「まだあって数日だそんなことしねぇよ!」


あっ!でも放課後にデート的なやつの約束しちゃったな...

いや、デートと思わなければデートじゃないから大丈夫だ!

そう思わないと人生やっていけねぇからな!


「普通に話すくらいの仲ではあるんじゃないか?その言い方!」

「まぁ結構仲は良くなったと思うよ...」

「フゥー!熱いね!」

「決してそう言う関係ではない!」

「ほんとか〜?」


こいつここ数日でウザさが増した気がする...


「はいはい、そんなこと言ってねぇで授業の準備しねぇと間に合わねぇぞ?」

「しゃあない問い詰めるのはもっと後にしとくか...」

「その前に逃げるがな!」


単純な足の速度だと余裕で勇也に負けているが、結構逃げるだけだったらかなり得意なので、勇也にだって追いつかれない。


「逃げるなよ!」

「逃げるわ!」


そういって俺は席に着き、一限目が始まるまで静かに待ってることにした...


そうして4限目の終わりまで無事に寝ずにしっかりと授業を受けることができた。


「ふわぁ~疲れた!」

「ウイ!お疲れ~」

「お前は一体授業を受けてなかったのってくらいの爽やか感だな!」

「これ程度じゃ疲れるも何もねぇよ!」


こんなに俺が疲れてるのにこの程度だと!

中身はかけらもモテるようなやつではないが、外見が良ければ別に性格が悪いやつではないから、かなりモテてるんだよな...


(ガラッガラッ)


そうしてたら急に扉が開かれ。


「先輩!ご飯食べましょう!」


彩葉が俺を誘いに来てたのであった...

そこにクラスの陽キャグループの一人で、女好きで知られる”山口やまぐち 陽生ようせい”が来て彩葉に話しかけた...


「もしかして彩葉ちゃん、俺に会いたくてここに来た感じ?いいよ、一緒に昼食食べようよ!」


チャラ目に彩葉に話しかけ、下心を丸出しで、誘っているように見えた。


「私は別にあなたと会いに来たわけではないんですけど?」

「え!?」


彩葉はあくまで冷静に対応をする。


「私に近づきたいんですか?笑えますね、私はもうあなたと話したくないって、思いましたけどね!」

「なっ!」


彩葉はかなり語気が強く、怒っているようにも見えた。

そんなこといわれるとは思っていなかったのであろう、陽生は彩葉にビビッていた...


「ごっ!ごめん彩葉ちゃん...」

「それでいいんです、それでもう私には話しかけないでくださいよ!」


「怖いね、なんか機嫌悪いのかな?」

「あれはあれであり!」


周りの人たちもそんな言葉を発していた。

そうやって陽生を言葉で突き飛ばした彩葉がこっちに近づいてきた。


「先輩!一緒にご飯食べましょう!」


さっきとは裏腹に暖かい声で、俺に誘いをかけてきた...


「そうだな、一緒に食べるか...」

「...さっきの私怖かったですか?」

「なんだ?急にそんなこと聞いて?」

「先輩に怖がられるのが嫌なんです...」


あれぐらいじゃ俺は怖いとは思わないし、そんな悲しそうな顔してると少なくとも怖いとは言えねぇよ!


「別に俺は怖いとは一言も言ってねぇよ、俺は別にどんなことをしてる人だって、その人の本質を見てるんだ、お前は優しいってことぐらいはわかってるんだ!」


俺は笑顔でそう返した。


「先輩ありがとうございます!」

「え?何急に、俺もう腹減ったから早く飯食いたいんだけど...」

「わかってますよ!早く移動しましょう!」


そういって彩葉は、動き始めた...


「おい!どこ行くんだよ!」

「そりゃあ先輩と二人きりでご飯を食べれるとこです!」


大声でそう叫んだ彩葉の顔は真っ赤になっていた...


「そんな恥ずかしいこと、そんな大声で無理して叫ばなくてもいいけどな...」


俺は、歩く彩葉を追いかけながら、そう呟いた...

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