階層は高ければ高いほどいい

「到着しましたよ!先輩」

「ほえぇ~」


すごく高級そうなマンションに連れてこられた...


「どうです先輩!ここに私は住んでるんです!」

「ん~俺との差が!どんだけ稼いでんだよ!」

「先輩もいっしょに住みます?」

「それはさすがにまずいだろ!」

「てへっ」

「そんな可愛く言っても駄目だ!」


やっぱり彩葉はあざとい。

そう思いながらも中に進んでいく。

とても高い階層に連れてこられた...


「はい!ここが私の部屋です!」

「階層がかなり高いから、値段もかなりするんじゃないか?」

「割と安いですよ?私の日給くらいで家賃が賄えます!」


どんくらい稼いでんだ、こんな豪華な部屋を1日で住めるようになるなんて...

めちゃくちゃ人生で負けてるな...


「家具とかは一通り揃ってますし、余ってる部屋もあるのでいつでも先輩が住む準備はできてます!」

「だからそれは無理だって...」

「先輩が言うならなんだって叶えてあげますよ?」


その時の彩葉は到底嘘を吐いているようには見えなかった。

多分俺の言うことをかなえてくれるランプの魔人的な存在説はあるな。


「まぁ俺には家族がいるし...そこでは別に不自由ない生活を送ってるからさ!」

「私も先輩に強要するつもりはないので、ここら辺で抑えておきますよ...」


この言い方は俺がOKって言えばほんとにやるつもりやったんだな...


「それよりなんかないんですか?女子の部屋ですよ?」

「んー可愛いね?」

「なんで疑問系なんですか!」

「あんま内装とか気にしたことないし...」

「それでもなんか思いつくんじゃないですかー?」


そう言われましても。思いつかないものは思いつかないしな...


「褒めてくれるまで一旦待ってあげます!」

「えぇ?」

「嫌そうにしないで下さいよ!?」

「そうだなぁー...」

「いっぱい褒めてください!」

「1回だけなんでもするんで許してください!」

「え!?」


俺にこんなことを聞かないでくれ!


このまま何も出てこないままずっと終わらないままでいるより、変なことしなさそうだから何でも1つ言うことを聞くほうが...


「それなら許してあげますけど...」

「ありがとうございます彩葉様!」

「そんな言い方辞めてください、違和感しかありません!」

「俺がかしこまるのがおかしいみたいな感じで言うのやめない?」

「でも、悪くはなかったですよ!先輩!」

「別にうれしくねぇよ!」


誰がわざわざ後輩にそんなめちゃくちゃかしこまった言葉を褒められなきゃいけないんだ。


「それじゃ早めに先輩への命令を決めたいな...」

「おう、ばっちこい!」

「じゃあ...私に膝枕されてください!」

「は?」

「何かおかしいですか?」

「いや、そんなこと言ってくるとは思ってなくて...」


正直予想外であった、もっと彩葉に得があることを要求してくるのかと思っていたが、それは彩葉も大変じゃないか?


「それとも何ですか?一緒に住んでくださいって言ったら、一緒に住んでくれるんですか?」

「いや、それはちょっと...」

「ですよね?だからなんでも良いのラインがあるんですよ、それで考えた結果こういうことにしたんですよ!」

「結構考えてたんだな...」

「だから私のためにも早く膝枕されてください!」

「そんなにがつがつ来る?別にいいけど...」

「早く私のことを好きになってほしいので!」


そういいながら座って足を延ばす彩葉。


「ほらここに頭をのせてください!」

「ちょ、これ意外と恥ずかしい...」

「言いごたえしないでください!ほら早く!」

「それじゃあ遠慮なく...」


彩葉の膝はとても柔らかかった。

そんな膝に俺は頬が緩んで来た...


「どうです先輩?」

「癒される~」


俺今めちゃ恥ずかしいこと言ってない?


「それならよかったです...別にこのまま寝てもいいんですよ?」

「それはさすがに...」

「先輩って人に甘えてないですよね?この短い付き合いでもわかるものはあります!」

「そんなことはないけど...」

「たとえそうじゃなくても今くらいは甘えてください...それもたくさん!私はどれだけ先輩に甘えられても受け止めてあげます...」

「それじゃあ少しくらいは...」

「そうしといてください!」


そうして俺は顔を上に向けた。


「どうしたんですか?先輩?」

「ちょっとだけ彩葉の顔が見たくて...」

「そんなに私に惚れちゃいました?」

「そうかもしれないな...」

「え!?ほんとですか!?」

「嘘だよ、そうやって驚く彩葉が見たかっただけだ...」

「先輩!心臓に悪いのでやめてください...」

「すまんすまん!」

「むぅ...」


揶揄われた彩葉は頬を膨らまして、拗ねてしまった。


「そんなことしても可愛いだけだぞ?」

「ちょ!ずるいです先輩!」

「何が?」

「無意識なのがもっとずるいです!」


そういって顔を赤くして顔をそらした。

彩葉の頬は緩んでるように見えた...


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