最悪で最高な出会い (彩葉視点)
今日は2,3年の登校初日らしく、うわさを聞き付けたのか私のもとへ団子のようになって、集まってきた。
「すごい人の量だね!?」
「うぅ、最悪...こんなにうわさが広まるなんて...」
「まぁ人気者の宿命じゃない?」
「それ揶揄ってない!?」
「でも最初のほうはこうなっちゃうんじゃない?」
「この人達もいつかは寄ってこなくなるのかな?」
人が集まりすぎて熱い...
「これは抜け出せないね...」
「はぁいつになったら落ち着くんだろ...」
「まぁ一緒にいてあげるから!」
「ありがと~香菜ちゃん!」
「今更だけど香菜でいいよ!」
「じゃあ私も彩葉で!」
そんなのんきな会話を始めた、時だった...
「きゃぁぁぁぁ!!!」
そんな叫び声が響き渡った!
「どうしたんだろ?」
「周りの人がどんどん減ってくよ?」
「いったい何が?」
さっきまでいた人たちがどいていく...
「彩葉!」
「え?」
「早く逃げて!」
そういって香菜が離れていく...
その後に見えたのは、ナイフを持ってこっちに走ってくるおじさんだった...
「っっっっ!」
「彩葉ちゃ~ん!俺はこの時を待ってたんだ!彩葉ちゃんのいる場所を掴んで、会えるこの時を!」
足が動かない...
「こっちに来ないで!」
「怖がる彩葉ちゃんも可愛いよ!これが血に染まったらどれだけ可愛くなるんだろう!」
やばい刺される!
でも...逃げられない!
「彩葉ちゃん、こっちに来なよ!」
「いや!」
どんどん近づいてくる...
「彩葉逃げて!!!」
「か...な...?」
ダメだよ...動けない!そっちに行きたいのに!
ドンドン距離が縮まってくる、怖い!
「彩葉ちゃん!僕は君を殺して僕も死ぬんだ!」
もう刺されるそう思った...
「オラァ!」
「なっ!」
だけど私は刺されず、ナイフが宙を舞った。
男子高校生が走ってきてナイフを持っていた腕を蹴りナイフを落とさせたのだ。
「え?」
私は驚きを隠せず小さい声が漏れた。
現れた男性は一際輝いて見えた...
「こんのクソ野郎がぁぁ!」
「ウッソだろ!」
(パァン!!!)
おじさんが銃を構え容赦なくトリガーを引いた...
狙いは外れていたが、確実に殺意を持っていた。
「どこで手に入れたんだぁそんなもん!?」
「俺は彩葉ちゃんと一緒に死ぬんだー!」
私を殺すためだけに、そんなものを用意して...
(パァン!!!)
「イッタッ!」
目の前の人の左腕が撃たれた...
私のせいでっ!
「へっへっへ!俺の邪魔をするからそんな事になっちまうんだ!」
「すいませんっ...私を犠牲にして下さい!」
誰かが傷つくくらいなら!
「馬鹿が!だれが犠牲を作るつもりで助けに入る!」
「えっ?」
確かにこの人は私を死なせないために、助けに来てくれたのだろう...
「君っ!動けるか?」
まだこの人は何かするんですか!?
「動けますけど...私を犠牲にしたらみんなが助かるんですよ!?」
おじさんは私しか狙ってないから...
「それ以上自分を犠牲にするとかいうな!校内に入れ、それまでは俺が時間を稼ぐ!」
左腕を見て、私はこの人も多分限界が近いと思った...
だから一番近くにいる、私が止めなきゃ!
「でももう動けるような傷じゃないですよ!もうやめてください!」
これ以上私のせいで傷つく人を見たくないから、止まって!
「大丈夫!左腕だけだ!」
多分私に心配をかけないようにしないようにしてる...
あぁダメだな私、私の行動一つ一つがこの人に迷惑をかけてる...
ならこの人の言うことを聞いて少しでも負担を減らさないと...
「俺の彩葉ちゃんに近づくなぁ!」
(パァン!!!)
迷いなくおじさんは銃を撃つようになっていった...
私は校内へ飛び込んだ...
そうしたら暫く時間が経った後に、歓声が聞こえてきた。
「なんであの人たちは何もしてないのにあんなに盛り上がってるの?」
私はそこに違和感を持った。
頑張ったのはあの人だけで、怪我もしているのに...
「あっ!早くいかないと!」
私はその人にお礼をしないといけないと思った...
「大丈夫ですか!?」
その人は倒れて動きが鈍くなっている様子だった...
「大丈夫にみえる?...」
「いえ...ですがもうすぐで救急車が来るからすこしだけ待っててください...」
「それより君だよ...怪我はないかい?」
この人が守ってくれたから私には傷一つ付いていなかった...
「わたしは大丈夫です...こんな時でもほかの人のことを心配するんですね...」
「それは違う...単純にあんなのに襲われて精神的に問題があったりすることがあるかもしれないから...」
「それを心配してるっていうんですよ!」
「違っ!」
この人は優しく、近くにいると安心する...私はそんな彼にもう惹かれているのかもしれない...
だから少なくとも助けてくれた人として休ませてあげないと...
「私は大丈夫です、もう大丈夫ですから安心して自分のことを心配してください!」
「ん...」
私は少し間を空けて呟く。
「おやすみなさい」
そう告げると少し顔が和らいだような気がした...
少しして救急車がやってきた。
運び込まれるとき少しだけ名前を聞いた。
あの人の名前は海道 樹というらしく、2年生の先輩らしい...
「樹先輩、か」
あの光景をもう一度頭に浮かべたとき心臓の高鳴りが止まらなかった...
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