目覚めの時
「ふわぁぁ~うわっ...まぶし!」
目覚めにしてはあまりにも明るい景色が広がっていた。
日付と時刻を確認するとあの日から二日たっていて今は17時であることが判明した...
「先輩!やっと起きたんですね!」
「ん?」
目の前にはこの前とは一風変わった、一ノ瀬彩葉の姿があった。
「どうかしましたか?まだおかしいところとかあるんですか?」
「いや、なんで君がいるのかなって...」
「来ちゃダメでした?」
その様子は俺のタイプに近いような動きで、服装で、まるでこの前とは全く違う人のような感覚であった...
その口調までも...俺の好みをつかまれてるのか?
多分勇也がなんかしたのか?
こんなことをできるのはあいつしかいない!
「いや別に...ただここに何をしに来たのかなって...」
「それはお礼を伝えに来たんです!」
「別にお礼とかはいらないよ、好きでやったことだし...」
「じゃあ私のお礼も私の好きでやってるってことで!」
なんか屁理屈な気がするけど...
「まぁ君の気が済むまでいていいよ...」
「私の名前は”君”じゃなくて”彩葉”です!それに堅苦しい言葉も禁止です!」
「わかった...彩葉」
「はい!なんでしょう?」
にっこにこの笑顔で、反応を返してきた...
「名前で呼ばれるのそんなにうれしいか?」
「先輩に呼ばれるからうれしいんです!」
あざとすぎるっ!
こんなん俺みたいな陰キャは惚れてまうて!
そんな彩葉にあの後の話などを少しだけ聞いていた...
「ご飯ですよ!先輩!」
「ん?もうそんな時間か...」
「時を忘れるくらい私と話すのがたのしかったんですかぁ?」
そうやって彩葉は俺をたまに揶揄おうとしてくる。
「まぁそうかもしれないな、こんな可愛い子と話すと時間がすぐに立つっていう発見があったな...」
「ばっ、そんな恥ずかしいことよく言えますね...」
「言わせたかったのはいう言うことだろ...?」
「そっ、そうですけど~」
ほんとにからかうつもりで言ってたのがバレバレだ。
「私を恥ずかしくさせた罰として、あーんの刑です!」
「ん?何を言ってるの?」
「病院食ってお世辞にもおいしいとは言えないじゃないですか?」
まぁ個人的な意見だが俺はあまり好きではないな...
「なので私が先輩がもう食べれないって言っても無理やり食べさせるんです!」
「別にあーんされなくても食べきるよ...」
「ダメです罰なので!」
「それ彩葉も恥ずかしくならないか?」
「私はいいんです!それに先輩に食べさせる気分も知りたいですし...」
「そんな二度と起きそうにない気分を知ろうとするな...」
それに俺が恥ずかしすぎる!
「先輩もしかして照れてるんですかぁ?」
「そりゃ、彩葉みたいなかわいい子にあーんされるのは恥ずかしいだろ流石に!」
「っ///褒めすぎです...先輩...」
「別に褒めた覚えはない!」
「先輩!でもあーんじゃないとこのご飯先輩に挙げませんよ?そんなこと言っててもいいんですか?」
くっそ卑怯じゃないか!
そんなあざとく迫られたら断れねぇだろ!
「わかった...」
「やった!じゃあ...先輩はどれを最初に食べたいですか?」
「それは彩葉の気分に任せるよ...」
「はい!わかりました!」
そういって彩葉ご飯を箸で持ち上げた。
「はいあーん」
「ん...」
「食べてる先輩可愛いですよ...」
「ゴフッ!」
「先輩っ!?」
照れてしまって吹いてしまった...
「もうせんぱーい...なにしてるんですか!?」
「ほんんっとにごめん!」
「別にいいですよそこまで怒ってないです...」
そんなこともあってご飯を食べ終えたときには、どっちも真っ赤な顔になってたと思う...
(プルルルル)
彩葉の携帯に電話がかかってきたようだ。
「あ、すいません!ちょっと出ますね...」
「ん?誰からだ?」
「マネの人からです!」
「へぇ連絡か、まぁ通話して来いよ」
「先輩はここでおとなしくしててくださいよ!」
「なんで決められなきゃいけんねん、お前は俺のおかんか!」
「それとも暴れるんですか?そんなこと言うなんて...」
「違うわ!」
「じゃあ私のいうことを聞いといてください!それとも何ですか?私が隣にいないとダメなんですかぁ~?」
っ!
なんか反応したらさらにいじられる気がする...
「え?なんか反応して下さいよ!」
「そんなことより早く出たほうがいいんじゃないか?」
「そっ、そうですけど...」
あぶねぇ誤魔化せたぁ~...
そして彩葉は廊下に出て通話を始めたようだった。
「ふぅこの間に一息つくか...」
彩葉は俺が助けたときはおとなしい子だなって思ったけど、なんでこうなったってくらいの変わりようだな...
別に活発に話しかけてくるのはいいが前の様子と比べるとね...
「ふわぁぁ...」
どうやら俺が思ってる以上にこの短時間で疲れてしまったみたいだな。
「先輩!戻りました...よ?」
「んん~...」
「眠いんですか先輩?」
彩葉の言葉がぼやけてなんて言ってるのかがわからない...
「私もダンスレッスンがあるので、先輩は寝ててください...」
「彩葉?」
「はい私はここにいますよ?」
「ダンスレッスン無理はするなよ...お休み...」
「はい、おやすみなさい先輩...」
そういって彩葉は体をこっちに寄せてきた。
「チュッ...」
そう音を立てほっぺにやわらかい感触が来た...
「え!?」
「また今度会いましょう、愛してますよ先輩!」
あまりに急な出来事に眠気が吹き飛んだ。
「いったい何がしたいんだ?」
結局樹はその日寝れなかったそう...
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